日刊☆こよみのページ スクラップブック
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■今日は十日夜で亥の子の日
今日(2009/11/26)は旧暦十月十日。十日夜です。
また日の干支を見ると「乙亥(きのとのい)」で、旧暦十月最初の亥の日、
亥の子の日です。
十日夜も亥の子の日もそれぞれ「何時か記事を書こう」と思っているうちに
準備が整わないままその日がやって来てしまいました。
それも、今年は同じ日に一遍に。
しかたがないので、本日はさらりと、十日夜と亥の子の日の概要だけを書い
てみることにしました。
では、まずは亥の子の日から。
◇亥の子の日
亥の子の日は、玄猪(げんちょ)とも呼ばれる行事です。
元は中国から渡来した風習で、十月亥の日に餅を食べれば年中の病を避ける
ことが出来るとあって、人々はこの日に餅を食べました。
また、猪(中国では豚のこと)は子供を沢山産むと云うことから、亥の子の
餅を食べると子だからに恵まれるなどと考えられ、女性どおしでお互いに餅
を贈り合うと云うこともあったようです。
また、子宝に恵まれるということから、子孫繁栄の祝いとも考えられるよう
になりました。何はともあれ目出度い日のようです。
この日には餅、あるいはぼた餅、丸形の菓子など「亥の子」の形を彷彿とさ
せる食べ物を食べる習わしがありました。
「元は中国の行事」の多くがそうであるように、この行事はまずは宮中から
始まり、それが次第に民間へと広がっていった行事です。
◇十日夜
十日夜はどちらかというと東日本で多く行われていた行事です。
藁鉄砲で地面を打ってもぐらの害を払うとか、大根の背が伸びて肥え太るの
を祈るとか、どちらかというと作物の豊穣を祈る民間行事という性格が強い
ものです。
また大根の豊作を願って、大根畑にぼた餅を埋めるなどという行事も有った
ようです(「ふるさと東京 民俗歳時記」の田無市(現西東京市)の風俗)。
また、こうした行事の他にこの日の月を眺める慣習もあり、中秋の名月の十
五夜、後の月の十三夜と並べて、この十日夜の月を「三の月」と呼ばれるこ
とがあります。
この夜に、お月様に備えるものは、やはりぼた餅でしょうか。
◇亥の子は西、十日夜は東?
二つの行事は時期的に近く、子孫繁栄や豊作祈願など願いとしては大層一般
的なものを祈る行事であったためか、混じり合いが起こっているようです。
ただ、亥の子の行事が宮中発ということで、どちらかというと亥の子の行事
は西日本、これに対してより土着的(?)な十日夜の行事は東日本で多く行
われていたとか。
亥の子は西、十日夜は東。
ではこの二つが出会うところは?
前出の「ふるさと東京 民俗歳時記」によれば、東京では二つの行事が混同
されていると云った記述がありますが、西と東の行事が出会ったのは関東あ
たりだったと云うことなのでしょうか。
さてさて、冒頭でも書きましたが「そのうち書こう」と思っているうちにそ
の当日がやって来てしまった(それも、手を携えるように同時に)ので、本
日は、さらっと亥の子の日と十日夜の行事の概要を書くだけになってしまい
ました。過ぎてしまっては、洒落にもなりませんから。
「きっと来年にはまともな記事が読める」
そう思って、来年まで気長にお待ち頂けると助かります。
最後は、かわうそからのお願いとなってしまった、本日のこぼれ話でした。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
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