日刊☆こよみのページ スクラップブック
(PV , since 2008/7/8)
■近日点通過日・2010
地球の軌道は楕円軌道で、地球と太陽の距離が変化するということは皆さん
ご存知の通りです。近いときと遠いときがあれば、ではいつがいちばん近い
のか、遠いのかという疑問が浮かぶと思いますが、その一つの答えが
今日です
地球と太陽の距離がもっとも近づく軌道上の点を「近日点(きんじつてん)」
と呼び一番遠ざかる点を「遠日点(えんじつてん)」と呼びます。
本日2010/1/3には、地球は軌道上のその近日点を通過します(近日点通過日
といいます)。
近日点通過の瞬間は本日の 9時頃ですから、このメールマガジンがお手元に
届いた頃には、ちょうど近日点を通過している頃でしょうか。
◇距離の変化はどれくらい?
では近日点と遠日点でどれくらい距離が変わるかというと、
地球と太陽の距離 = 1億4960万km ± 250万km
都合500万kmも距離が変わります。
「これはすごい!」と言いたいところですが、この距離は %で表せばわずか
3%程。こう言われてしまうと案外大したことはありません。
普通、楕円軌道の説明として教科書などに載っている図は、かなり極端な楕
円軌道(離心率の大きな軌道)が描かれているので、地球の軌道が楕円形だ
というと、そのかなり極端な楕円軌道を思い浮かべてしまいがちですが、地
球の軌道は、一見円軌道に見える位の軌道で、近日点でも遠日点でもそんな
に大きく太陽までの距離が替わることはありません。
◇太陽から受けるエネルギーの変化は?
この距離の変化で、地球上の一定面積が太陽から受けるエネルギーの量はど
れくらい変わるかと考えると、平均を100とすれば、
近日点:103.4 遠日点:96.7
ちょっとだけは確かに変化しますね。やっぱり太陽に近い方が遠い方より
暑い
わけです。そう、本日はこの計算によれば太陽にいちばん近くて、一年の平
均から3%程度沢山のエネルギーを得られる暖かい時期と云うことになります。
暖かいって素敵ですね・・・。
しかし、現実にはこの日の日本は寒いです(今現在、確かにとっても寒い)。
明後日の 1/5は一年で一番寒い時期といわれる「寒」の季節に入るじゃあり
ませんか。寒いもなにも、一番寒い季節。
近日点を通過する時期、一年で一番太陽から沢山のエネルギーを得て地球が
暑いはずというのは、地球全体を考えた場合の話。全体で見れば暑いと云っ
ても局所的にもそうだと云うことにはなりません。ああ、残念。
近日点通過日は多少前後しますが例年だいたいこの辺ですから、日本が一番
寒い時期とされる寒をむかえる頃に、地球全体で見れば一番暑い時期がやっ
て来ると言えます。
地球の夏は、日本の冬
そう考えると、なんだかちょっとだけ不思議な気分です。
ちなみに今年(2010年)の地球の遠日点通過日は 7/6。
地球の冬は、日本の夏でした。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
日刊☆こよみのページ スクラップブック