日刊☆こよみのページ スクラップブック
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■今日は「今年二度目の立春」?
本日は立春。現在日常的に使われている新暦では年初は冬至に近い頃にあり
ますが、それ以前に使われていたいわゆる旧暦は立春付近に年初を置く「立
春正月」の考えに基づいた暦です。それなのに本日の暦データを見ると
西暦 2010年 2月 4日 [月の] 第1週 第1木曜 [年の] 35日目 残り 331日
旧暦 12月 21日 (友引)
立春 二十四節気の一つ 旧暦正月節気
となっていて、立春なのに旧暦の日付は 12/21とまだ12月のまま。
こんな風に、年が明ける前に立春が来てしまうことが旧暦時代にはあって、
こうした立春を「年内立春(ねんない りっしゅん)」と呼びました。まだ
古い年の内に立春が来てしまうという意味です。
◇年内立春の年は珍しい?
古今集の冒頭を飾るのは、この年内立春について詠まれた次の歌です。
『年の内に 春は来にけり ひととせを
こぞとや言はむ 今年とや言はむ』
ふるとしに春たちける日よめるとした、在原元方の歌です。
流石に古今集の冒頭を飾るほどの歌ですから、何処かで目にした、耳にした
と云う方もいらっしゃるのでは?
歌の意味は、「年が変わらないうちに立春が来てしまったこの年を、去年と
言うべきか、今年と言うべきか」と言ったところでしょうか。
旧暦と言われる暦が実生活でも使われていた時代に詠まれた歌に、わざわざ
年内立春が詠み込まれたと云うことは、年内立春は珍しいことなのだ・・・
とどうやら、この歌がそんな誤解を生んでいる気がします。
◇確率は1/2
立春は二十四節気の正月節と呼ばれる節気ですが、旧暦の暦月の名前を決め
るのは二十四節気の「節」ではなくて「中」の方。旧暦の正月という暦月を
定めるのは、正月中の「雨水」で、今年の雨水は新暦では2/19にあたります。
旧暦の正月はこの雨水を朔日から晦日までに含む月です。つまり旧暦では雨
水が1/1〜1/30(小の月なら1/29)の範囲で変化するわけです。
立春と雨水とは15日離れていますから、立春が無事に旧暦の新年に含まれる
(これを「新年立春」といいます)ためには、雨水が旧暦の1/16以降の日付
となった場合となります。
旧暦の2010年(?)は新暦の2/14から始まり、雨水の2/19は旧暦の 1/6にあ
たるので、旧暦2010年の春正月には立春は含まれないことになります。
さて、では立春が旧正月に無事に登場して新年立春となる確率はどれくらい
なのかというと、その条件である「雨水の日付が旧暦の16日以降でなければ
いけない」と言うことを考えると約1/2 がその答えになります。
逆に言えば、年内立春となる年はも全体の1/2。
なんと、新年立春と年内立春の確率は半々。年内立春なんて全然珍しい現象
でないことが判ります。
◇今日の立春は二度目の立春?
旧暦では今年はまだ2009年です。旧年中に立春を迎えるので、今日は年内立
春の日なのですが、実はこの旧暦2009年は新年立春でもあったのです。
分かりやすく今回の立春と、一つ前の立春の日付を新暦と旧暦で表すと、
前の立春 新暦 2009/2/4 旧暦 2009/01/10
今日の立春 新暦 2010/2/4 旧暦 2009/12/21
となります。旧暦2009年には年内に二度の立春があるのでした。
この二度の立春のあった旧暦2009年のあおりをくって、旧暦の2010年は一年
に一度も立春の無い年となってしまいます。
年内立春は珍しくないと説明しましたが、こんな年に二回の立春がある年は
どうかというと、これもまたさほど珍しくない・・・。旧暦の閏年はこの二
度の立春の年となるので、大体 3年に一度はこんなことが起こります。
そして今日は、珍しくもない旧暦の「一年に二度目の立春」の日でございま
した。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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