日刊☆こよみのページ スクラップブック
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■桃の節供のこぼれ話
本日は三月三日、言わずと知れた桃の節供の日です。
毎年、この時期には桃の節供の話を採り上げることになります。そして今年
も既に何度か関連の記事を載せてきましたので、真面目な話はそうした記事
をお読み頂くとして、本日はそうした話からこぼれた話を幾つか拾ってみま
す。
◇上巳の節供・・・今日は巳の日か?
一般には桃の節供とか、雛の節供、雛祭りなどと呼ばれることの多い三月三
日の節供ですが、本来の名前は
上巳の節供 (じょうしの せっく)
この名前は、本来この行事が三月の「初めの巳の日 = 上巳」に行われて
いたことからこう呼ばれたのでした。
では、今日は巳の日かというと残念ながら違います。今日は2010/3/3は「子」
の日です。ついでなので、2011,2012,2013の3/3も日の干支を調べてみると、
2010:子, 2011:巳, 2012:亥, 2013:辰 (新暦 3/3)
のようになっています。
そうか、新暦では上手く行かないのだね。やはり伝統行事は旧暦の日付でな
いと・・・とおっしゃる方もいらっしゃるでしょうが残念なことに旧暦の日
付でもそうはなりません。論より証拠と旧暦の 3/3の日の干支を同様に示し
てみると
2010:申, 2011:寅, 2012:申(※寅), 2013:申 (旧暦 3/3)
※は閏 3/3の日の干支
となって、残念ながらやはり「巳」とはなりません。
上巳の節供は本来はきちんと「巳の日」に祝われていたのでしょうが、その
うちに日付に固定した方が分かりやすいと考えられたのか(?)、暦の月と
日の数字の重なる、「三月三日」に固定されて現在に至りました。
こんな経緯を見ると日常に使う暦、新暦の日付に固定してこの日を祝うこと
を否定は出来ないと思います。
ちなみに、暦の日付に固定してこの節供が祝われるようになったのは劉備や
曹操、孫権などが活躍した中国の三国時代のことと云われています。
◇節供を過ぎたら雛人形を早く片づけないと婚期を逃す?
よく聞く話です。
まあ、迷信ではありますが、上巳の節供の行事の内容から考えると判らない
こともない迷信です。
現在は上巳の節供に飾られる雛人形は、その年一年きりというわけではなく、
節供が過ぎれば片付けられてまた来年を待つことになりますが、こうした飾り
雛は室町時代になってから広まったもので、それ以前の人形の役割は、その持
ち主の身に付いた「穢れ(けがれ)」を人形に移して、これを川や海に流して
しまうものでした。
つまり、人形は不幸や穢れなどといった不吉なものを本人に代わって、遠くに
運び去ってくれるものなのですからいつまでもそこにあってはいけないわけで
す。
こんなところから、お雛様が節供を過ぎても飾られていることは一種の禁忌と
なって、こんな迷信が生まれたのではないでしょうか。
◇「せっく」は「節供」
上巳の節供と私は「節供」の文字を使っていますが、「せっく」を漢字に変換
すると真っ先に出てくるのが「節句」です。私の場合、その「節句」を見て、
更に次の候補を見て「節供」を選びます。
「節」は特別な日を現す「節日(せつび)」の節。
一年のうちの折目節目となる日の「節」で、そうした日には神様に供物を捧げ
ます。「節供」は
節日に神様に捧げた供物
が本来の意味で、それが転じて節日そのものを指す言葉になったものです。
ということなので「供物」の「供」が本来の文字と考えられます。
ちなみに「節日」という漢語が日本にやって来るまではこうした折り目の日
は「ヲリメ」と呼んでいたらしいです。ヲリメは「折目」ですね。
余談ですが、年越しから正月にかけての「お節料理」の「おせち」はこの節
供の際に出される特別な料理のこと。今では正月以外では聞きませんが。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
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