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■九十九夜の泣き霜
 昨日、今日とこの時期としては寒い日が続いています。
 特に今朝は冷え込み、霜注意報が出た地域も多いとか。

 この時期の霜と言えば、「九十九夜の泣き霜」という言葉があります。
 この言葉には普通前段があって、まとめると

  八十八夜の別れ霜、九十九夜の泣き霜

 となります。
 春の霜は農作物には大敵。農家の方々は遅霜には神経を尖らせていることで
 しょう。先の諺はそうした遅霜に関する諺で立春から数えて八十八日(5/2
 頃)になれば霜の心配は大概無くなる(別れ霜)ということと、それで安心
 して気を緩めると、九十九日頃(5/13頃)までは遅霜で被害が出ることも希
 にはあるということ(泣き霜)を示した言葉です。

 5/13頃と書きましたが、今日はその5/13。今年は今日が確かに立春から数え
 て九十九日目。暦の上では「夏」となってから一週間以上も経っているとい
 うのに諺どおり遅霜の被害が心配される寒い朝となってしまいました。

◇霜が降りる気温
 霜は寒い冬の朝に空気中の水蒸気が、地面や地面に近い場所にある物の表面
 で凍り付いたものです。
 気温が摂氏 2℃程度まで下がると、霜となるといわれています。

 霜は氷の一種ですから、凍るのは摂氏 0℃のはず。なぜ摂氏 2℃の気温で霜
 となるのか不思議ですが、これは気温を測る場所が地表から1.5mの高さであ
 るからです。

 よく晴れた夜には放射冷却が進み、地面に近ければ近いほど気温が低くなり
 ます。ですから気温を測る地表から1.5mで 2℃ならば、地面付近では 0℃ま
 で下がることがあるため、霜が降りることがあるわけです。

◇遅霜の時期
 理科年表から日本各地の遅霜の時期を調べてみると次のようになります。

  鹿児島 3/11 (4/22)
  京都  4/09 (5/19)
  東京  3/13 (5/16)
  仙台  4/18 (5/20)
  札幌  4/25 (6/28)

 最初の日付は平均的な遅霜の日付、()内の日付は気象庁の記録に残るもっと
 も遅い遅霜の日付です。
 鹿児島と札幌は別格として除外してみれば、上の()内の日付から考えて「記
 録的な」と呼ばれるほどの遅霜なら、確かにこの時期頃まではまだ注意が必
 要だと言うことが分かります。

 諺どおりとはいえ、今朝の霜注意報が現実となって本当に「泣き霜」となっ
 てしまわないことを祈りたいものです。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
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