こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
■しぶんぎ座流星群
 先月はこのコーナーでふたご座流星群の話を書きました。
 その中に次のような説明がありました。

 『派手では有りませんが、毎年確実に一定数以上の流星を出現させてくれる
  安定した流星群も有ります。
   (中略)
  こうした安定した活動をする流星群は年間に10以上知られていますが、そ
  の中でも出現数の多い夏のペルセウス座流星群、冬のふたご座流星群、年
  明け早々のしぶんぎ座(りゅう座)流星群が、ビック・スリーです。』

 本日採り上げたしぶんぎ座流星群はこの説明に採り上げたビック・スリーの
 一つ。先月同じビック・スリーの冬のふたご座流星群を採り上げましたので、
 今月は公平を期してしぶんぎ座流星群を採り上げました(夏になったらペル
 セウス座流星群も採り上げないといけなくなるな・・・)。

◇しぶんぎ座流星群
 しぶんぎ座流星群の活動時期は 1/1頃〜 1/5頃。もっとも活動が活発になる
 「極大」は 1/4の朝方です。今年は1/4 の午前10時頃が計算上の極大を迎え
 ると予想されています。ただこの時間はもう真っ昼間といってよい時間です
 から電波観測くらいしか出来ません。

 「やはり流星群は目で見ないと」と考えると日本における観測の好適時期は
 1/4 の未明になると考えられます。

 1 時間あたりの流星出現数をHRと表現します。また実際に観測されたHRに様
 々な補正を施して理想的な条件下で見たとした場合のHRを ZHRと云います。
 しぶんぎ座流星群の極大時期の ZHRは 120あまりですが、1/4 の未明に見え
 るだろう実際的な数字としては 1時間あたり20〜30個程度でしょう(空の暗
 い場所ではですが)。

◇何処を見ればいいの?
 しぶんぎ座流星群の輻射点はりゅう座とうしかい座とヘルクレス座の間にあ
 り、午前 0時頃北東の地平線上に姿を表します。夜明け頃には北東の地平線
 から60°程上にあります。

 輻射点付近では流星の経路が短くて見応えという点では今ひとつですので、
 「流星を眺めて楽しみたい」という場合は輻射点から40〜50°程離れたあた
 りを楽な姿勢で眺めるのが良いでしょう。

 今回の場合、それを許されるなら外にビニールシートでも敷いて、その上で
 寝袋に入って寝っ転がって眺めるなんていうスタイルがよいでしょう。寝そ
 べってというのはどうかという場合は、座って北から北東の方角を眺めれば
 良いでしょうか。

◇しぶんぎ座流星群のちょっと変わったところ
・活動期間が短い
 しぶんぎ座流星群は他の定常流星群に比べて活動期間が短く、極大の日時以
 外は、ほとんど活動が認められない流星群なので、眺めるなら 1/4の未明を
 逃さないことです。

・名前が変
 普通、流星群は輻射点がある星座の名前を冠して呼ばれるものですが、既に
 書いたとおりしぶんぎ座流星群の輻射点は、りゅう座とうしかい座とヘルク
 レス座の間にありますが、何処にも「しぶんぎ座」という名前の星座は登場
 しません。

 それもそのはず、現在正式に認められている星座88の中に「しぶんぎ座」と
 いう名の星座はありません。
 「しぶんぎ座」の名前は18世紀に活躍したフランスの天文学者、ラランドが
 提案した「壁面四分儀座」に由来しています。既に書いたとおり現在正式に
 認められている星座の中にこの壁面四分儀座はありませんが、この名前が消
 える前に「しぶんぎ座流星群」という流星群の名前が定着してしまったため
 いまもこの名前が使われています。

 現在使われている流星群の名前を使って「りゅう座ι星流星群」とも呼ばれ
 ますが、しぶんぎ座流星群といった方がずっとよく知られた呼び名となって
 います。

 ついでの話ですが、猫好きのラランドは「猫座」も提案していましたが、こ
 の星座も残念ながら現在の星座表にはありません。
 全国の猫好きの皆さんには残念なことです(ああ、「やまねこ座」はあるん
 ですけど)。

◇さて明朝の成果は?
 現在はちょうど新月の時期なので、晴れてさえいてくれれば明朝のしぶんぎ
 座流星群の観測条件は「良」。
 晴れていて、見事な流星を幾つも見ることが出来たらいいですね。


  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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