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■七十二候の日付
 本日(2011/6/6)の暦を見ると

  二十四節気の「芒種」
  七十二候は「蟷螂生ず」

 とあります。
 二十四節気については、このコーナーでも何度も採り上げておりますので、
 本日は七十二候の方を採り上げてみたいと思います。七十二候もその一つ一
 つについては断片的に幾度か採り上げてきてはいるのですが、本日は個別の
 話ではなくて、日付の求め方についての話です。

◇七十二候と二十四節気の関係
 二十四節気は一年を24に分割したものです。どのように一年を分割するかに
 よって二十四節気には二つの方式が有ります。

 一つは、一年の長さ(日数)を24等分する方式。この方式を「恒気法」と云
 います。もう一つの方法としては、太陽が天球上を一年かけて 360°巡るそ
 の道筋(「黄道」といいます)を角度で24等分し、その等分された点を太陽
 が通過する日で区切る方式で「定気法」と云います。

 現在使用されている二十四節気は江戸時代の終わり頃につくられた天保暦が
 採用した角度による分割法、「定気法」を踏襲して計算されています。

 七十二候は更にこの二十四節気の一つ一つを 3つに分割したものです。
 このため七十二候は、「二十四節気の芒種の初候、次候、末候」のように表
 現することもあります。この方式で二十四節気の芒種の期間の各候を見ると

  初候 蟷螂生づ (6/6)
  次候 腐草蛍となる (6/11)
  末候 梅の実黄ばむ (6/16)

 という具合です。最後の()内はそれぞれの候の始まりの日です(こよみのペ
 ージ計算値)。

 ご覧の通り、七十二候は二十四節気を更に 3分割したものですから七十二候
 が二十四節気を跨ぐことは有りません。そして二十四節気の長さがほぼ15日
 ですから、七十二候の一つの候の長さはほぼ 5日となります。

 七十二候は季節の移ろいを気象や動植物の成長・行動などを目安として表し
 たものです。ただ七十二候の一候が 5日程度と短いですので、狭いようでも
 結構広い日本の南から北までの全ての地域の気候を的確に表現するというの
 は無理が有ります。

 また気候の変動はその年のお天気の具合によっても変化しますので、一つの
 地域でも年によっては現実とはそぐわないことも多いものです。あくまでも
 「目安」です。

◇七十二候の日付
 二十四節気の日付の計算は、スタンダードなものが有るのですが、七十二候
 の計算にはこれという決まりが有りません。単純に考えれば七十二候の一つ
 の候の長さは大体 5日で、その初候は二十四節気の節入りの日と同じ日とな
 りますから後は 5日毎に日を割り振ればよさそうです。

 大体はこの「単純」な方式で問題ないのですが、困ったことに二十四節気の
 一つ一つの期間は必ずしも15日では無いので、七十二候の長さも必ず 5日に
 はなりません。時々 5日ではなくて、 6日などになることが有ります(ごく
 希に 4日になってしまうこともあります)。

 初候から単純に 5日毎に区切り、過不足が出た場合は末候の長さで調整する
 という方法も有ります。どうやらこれが普通のやり方のようではありますが、
 ちょっと気になることが有ります。

 七十二候の元になる二十四節気が黄道を角度で24等分した「定気法」によっ
 て求められたものであるのに、その二十四節気を分割するのに日数による分
 割(一種の恒気法)によるのは平仄が合わない気がします。

 これが気になるので、こよみのページでは少々面倒ですが七十二候の日付を
 二十四節気の計算方式と同じく角度による分割法、定気法によって計算する
 ことにしています。その結果どうなるかというと、今年の場合は芒種の一つ
 前の二十四節気、小満の間の七十二候が

  初候 蚕起きて桑を食う (5/21)・・・ 5日間
  次候 紅花栄う (5/26)・・・ 6日間
  末候 麦秋至る (6/1) ・・・ 5日間

 という具合に、末候以外が 5日以外の日数(次候が 6日間)になっています。

  「あれ、ここだけ 5日じゃない。間違ってる」

 ってことでは無いのです。
 ただこの計算方式をみんなが使っているかというと、さて?
 単純に初候から 5日ずつに割り振った方式の方が有力かな・・・。
 この辺りは、こよみのページの拘りでございました。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
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