日刊☆こよみのページ スクラップブック
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■月の二つの周期と太陰太陽暦
天体として「月」は暦とつながりの深い天体です。
その月と暦をつなぐ重要な周期性には次の二種類あります。
『朔望月』(さくぼうげつ)・・・ 29.53日
『恒星月』(こうせいげつ)・・・ 27.32日
がそれです。
朔望月はその名の通り「朔(新月)」と「望(満月)」といった月の満ち欠
けの周期で、平均して 29.53日です。
ご存じのとおり、多くの太陰暦は朔から始まります。よって太陰暦の一月は
この朔望月に基づきます。平均朔望月がおよそ29.5日ですからこれに基づく
太陰暦の一月は29日か30日になり、29日の一月を小の月、30日の一月を大の
月と呼び、この大小の月がほぼ交互に現れることで平均29.5日の日数となり
ます。
朔望月に関しては「見ればわかる」ものなので解りやすいものですが、もう
一つは「よく見ないと解らない」ものです。
「月は地球の周りを回っている」と言います。では月が地球の周りを一回り
( 360度)するのに要する時間は?
先にあげた朔望月がそれだろう? と思っている人が多いのですがそうでは
ありません。その周期は 27.32日、これが恒星月です。
「恒星月」という名前は、月が恒星(夜空に見える星座を形作る星)に対し
て月が1周するのに要する時間といえます。
月はこの日数で星座の間を旅しているのです。
私達になじみのある星座と月の関係で言えば、例えばある日、月が「おひつ
じ座」にあったとします。それが翌日か翌々日になると、月は隣の「おうし
座」に移動しさらに「ふたご座」「かに座」・・・と移動し、再び元の「お
ひつじ座」に戻ってくるまでの周期が恒星月です。
こちらの星の間の月の周期は古代中国で暦を作るものたちには重要な周期で、
月がその日どの星座にあるかを示すために「二十八宿」を生み出しました。
そして、暦にもこの二十八宿が書き入れられるようになりました。
月の二つの周期、朔望月と恒星月はどちらも暦(ことに太陰太陽暦)を作る
ために利用され、暦月、二十八宿(二十七宿)として暦にその周期を刻みつ
けています。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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