日刊☆こよみのページ スクラップブック
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■軌道の上では折り返し点?
「早いもので、今年ももう一年の折り返し点を過ぎ、残すところあと半分と
なりました。」
暦の上で6月から7月に月が変わる頃には、こんな話が出るものですが、7
月となって5日たった本日もまた、似たような話。
ただしこちらの方は、「暦の上」ではなく「軌道の上」の折り返し点のはな
しです。
◇近日点と遠日点
地球は太陽の周りを巡る惑星の一つです。そしてその軌道は楕円。太陽は楕
円の二つある焦点の一つに位置します。
もし地球の軌道が円であったら、軌道に区切りをつける(始まりとか終わり
といった)明確な点はもうけにくいものです。どこを見ても同じですから。
その点、円と違ってひしゃげた(?)形をした楕円の軌道だと、半径が長い
方向と短い方向という向きによる特徴が現れますから、始まりと終わりとい
う区切りがつけやすいです(長い方向と短い方向のどっちを優先するべきか
といった問題はあるでしょうが)。
また、楕円軌道は楕円の焦点である太陽との関係を考えると、一つの明確な
区切りの指標ができます。それは、太陽と地球との距離が変化することから
地球が太陽から
「一番近い点」と「一番遠い点」
というものが出来るのです。この太陽に一番近い点をその軌道の「近日点」
といい、遠い点を「遠日点」といいます。
太陽に近い点なので近日点、遠い点だから遠日点。至極わかりやすい。
この近日点と遠日点は楕円軌道の細長い方向(長軸)の線上にあり、軌道を
巡る惑星はこの二つの点の間を公転周期の 1/2をかけて移動します。なるほ
ど、区切りに使うには好適な点ではないでしょうか。
◇今日は遠日点通過日
さてさて、話はようやく本日のお題、「軌道の上では折り返し点 ?」にた
どり着きました。
そう、本日は地球がその軌道上で最も太陽から遠ざかる遠日点を通過する日
なのでした。正確にはすでに通過した日なのですが。
今年の地球の遠日点通過は、日本時では
7/5 午前 1時
このときの太陽までの距離は、約1億5210万km。
皆さんがこの記事をお読みくださる時間にはすでに遠日点を通過したあとで
すから、地球は少しずつではありますが、太陽に近づいているところです。
ちなみに、今年の地球の近日点通過は
1/3 午前 8時
近日点通過日は年明け間もなくの時期ですから、暦の上の一年の始点と折り
返し点と、軌道の上の一年の始点と折り返し点は、まあまあよい具合に一致
しているといっても良さそうです(たまたまなのですが)。
なお、近日点通過のときの地球と太陽の距離は約 1億4710万kmですから、遠
日点を通過した本日の地球はこの日より 500万kmも太陽ら遠い位置にあるこ
とになります。道理で寒いはずですね・・・。
これから残り半年で、地球は徐々に太陽までの距離を縮め、来年の年明け早
々には再び、近日点を通過することになります。北半球では暑い季節から寒
い季節へ向かうこの時期ですが、地球全体からすると寒い時期から暑い時期
に向かうことになるのかな。
以上、地球の遠日点通過の日の「軌道の上では折り返し点」の話でした。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
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