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■大正時代の天長節と天長節祝日
 本日 8/31は、大正天皇の誕生日。
 天皇陛下の誕生日が祝日であるのは明治、大正の時代も同じですが呼び名は
 違います。
 帝国憲法時代の天皇誕生日は「天長節(てんちょうせつ)」と呼ばれていま
 した。天長節の「天長」は、老子の第七章の

  天は長く地は久し(天長地久)。
  天地の能(よ)く長くかつ久しき所以のものは、
  その自ら生ぜざるを以てなり。

 からとられたそうです。
 天は永遠であり地はいつまでも存在する。天が永遠で地がいつでも存在する
 のは、自身の命を育てようとしないからであると言った意味でしょう。

 天長節は天子とも呼ばれる天皇を天に例え、天が永遠であるように天皇の治
 世が末永く続くように祝い寿ぐ日でした。
 明治以降は一世一元(昨今話題となりました生前退位などが法的に認められ
 るようになるまでは)でしたから、天皇の治世が末永く続くということは同
 時に天皇陛下の長寿を祝うことにもなります。

 ちなみに、もととなった老子の「天長地久」から、天皇陛下の誕生日を天長
 節と呼んだように、皇后陛下の誕生日は地久節と呼ばれました。

 このようなわけで、明治、大正、昭和と天皇陛下がおかわりになれば日付が
 かわります。明治〜昭和の時代の天長節の日付は以下のとおりです。

  11/03 (明治時代)
   8/31 (大正時代)
   4/29 (昭和時代)

 明治天皇の誕生日は、嘉永 5(1852)年 9月22日。ですが、11月 3日はこの日
 付を新暦に直したものです。
 ついでに、「天皇誕生日」と名を変えてから(昭和23年の「国民の祝日に関
 する法律」施行から)の日付も書くと

   4/29 (昭和24年〜)
  12/23 (平成時代)

 となります。

◇天長節祝日?
 大正時代(ただし大正 3年から)は、本日が天長節の日でしたが、これとよ
 く似たもう一つの祝日がありました。それは

   天長節祝日

 という祝日です。天長節祝日の日付けは 10/31。今の時期の 2カ月後です。
 どちらが大正天皇の誕生日かと言えばもちろん天長節の方。
 では天長節祝日は何かというと、病弱でいらした大正天皇が残暑の厳しい時
 期に天長節の各種式典を行うことを厭われたため、式典は寒暑の厳しくない
 時期に行うこととし、この日を「天長節祝日」としたのだそうです。

 この「天長節祝日」というちょっと変わった祝日は残念(?)ながら、大正
 時代一代だけのものでした。今上天皇の誕生日は 12/23。寒さ厳しい時期で
 すから、こっちも、もっと気候の良い時期にもう 1日、「天皇誕生日祝日」
 なんて祝日作ってくれてもいいのにな・・・。

 なんて馬鹿な妄想にふけりつつ、残暑厳しい折の大正時代の天長節と天長節
 祝日の話でした。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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