日刊☆こよみのページ スクラップブック
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■散々な記念日の並んだ日
散々な日ですね、今日は。
今日の記念日を見ながらそう思ってしまったかわうそです。
1つ目は日本の史実から出た記念日。「左遷の日」
菅原道真(すがわらの みちざね)が右大臣から大宰権帥へと左遷された日
とされる 901(延喜元)年1/25に因む日です。
道真公が左遷された1/25という当時の暦の日付けを、現在の季節と関連づけ
られるように現代の暦に当てはめてみると2/21頃になります。左遷された道
真を追って、一夜で太宰府まで飛び、その地で根付いたと云う飛梅伝説の梅
も、この時期だともう咲いていたでしょうから、その花を見て
『こちふかば にほひおこせよ 梅の花
あるじなしとて 春なわすれそ』
を詠んだのでしょうか。
2つ目はヨーロッパのこれも史実から出た話。「おわびの日」
教皇グレゴリウス 7世によってカソリック教会から破門された神聖ローマ帝
国皇帝ハインリッヒ 4世が許しを乞うた日を記念した日です。ハインリッヒ
4世はこの日から 3日間、雪の中を裸足で破門の解除を願ったというあの、
「カノッサの屈辱」の日です。せめて 3日後に許された日を「許しの日」に
でもしてあげればよかったのにね?
余談ですけど、なぜか、高校の世界史のこの部分だけよく覚えているかわう
そです。そういえば、「カノッサの屈辱」をタイトルとしたパロディー番組
シリーズがありましたね、昔。大好きでした・・・。余談終了。
3つ目は、また日本の話。「日本最低気温の日」。
1902年に北海道の旭川地方気象台で記録された -41.0℃という日本の最低気
温の日です。
寒いことは、必ずしも「散々なこと」に加えられるべきものではないでしょ
うけれど、寒さが大の苦手な私からすると、「左遷の日」「おわびの日」に
並べても不思議でない、散々な日の一つです(かなり、個人的な感情での選
択でした)。
◇散々な日の救い、天神様の縁日?
散々な記念日の並ぶ1/25は天神様の縁日。
やっと、散々じゃない記念日の登場です。
天神様の縁日は毎月25日なので、1/25だけに限ったわけではないのですけれ
ど、1/25は年明け最初ということで、「初天神」。やはり初物はうれしいじ
ゃありませんか。
しかし、散々な日の慰め、天神様の縁日も考えてみると、散々な日と無関係
ではありません。皮肉なことに、散々な目にあった人に縁のある縁日です。
その縁のある人物とは、「左遷の日」の主人公、道真公です。
◇天神様の縁日
既に書いた通り毎月25日は、天神様の縁日となっています。
なぜこの日が天神様の縁日となっているのかというと、これは道真公の命日
が 903(延喜 3)年2/25であったことからです。
道真公の命日が天神様の縁日になっているのは次のような理由からです。
道真公が左遷された地、太宰府で亡くなってから、都では落雷の被害が相次
ぎました。また道真公を陥れ、左遷した藤原時平(ふじわらの ときひら)
の急死などが続き、これは道真公が死後、怨霊となって祟っているのだと考
えられるようになり、恐れた人々がその怒りを鎮めるために道真公を天神様
として祭ったためです。
元々「天神」は雷神として崇められていたそうで、道真公は死後、怨霊とな
って都に落雷被害をもたらす雷神になったという噂が都で拡がり、
天神様 = 道真公
と考えられるようになったのです。
道真公の左遷に一役買った人たちなんかは、藤原時平の二の舞になってはか
なわないと、きっと必死で拝んだことでしょうね(自業自得?)。
こんな風にして始まった、「道真公=天神様」ですが、後には、道真公が学
問に優れた人物であったことから、天神様は学問の神と考えられるようにな
り、現在では元々の雷神としての恐ろしい面は忘れられて、専ら学問の神様
として、全国の受験生とその家族の合格祈願先として人気の高い神様となっ
ています。
現実の世界では左遷されて、そのまま地方で寂しく亡くなってしまった道真
公ですが、死後はとんとん拍子で出世して、最後には神様にまでなってしま
いました。
まあ、現世で左遷され、死んでから敵対者達の罪滅ぼしの意味で神様にまで
祭り上げられても、嬉しくないでしょうけどね?
以上、散々な記念日の並んだ、1/25の暦のこぼれ話でした。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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