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月の満ち欠けと名前2・こよみのページの場合
    三日月、弓張月、小望月、十五夜、十六夜に有明月・・・人間はお月様との長いつきあいの中で、多くの風情のある呼び名をその月につけてきました。

 こよみのページでも、オープニング画面で毎日の月の名前を表示しております。その名前を毎日楽しみにしてくださっている方も多いというので、載せて良かったなと思っていますが、これに関してよく質問されることがあります。

 「今月の月」では満月とあるのに、旧暦日による月名は十六夜
 月という名になっているのはなぜ
 

 有明月っていつからいつのことですか? 

至極常識的なので、見過ごしてしまうことが有るのですが、よく見てよく考えるとわかりにくいところもあります。その原因は、月の呼び名には見方の違ういくつかの命名法が有ることです。さて、それがどんなものか見てみましょう。
一般的な月の呼び名については、お月様の満ち欠けと呼び名 を先に読むことをおすすめします。
  1. 天文学的名称 天文学的な名称は、新月・半月(上弦)・満月・半月(下弦)の4種類です。
    太陽と月の黄経差が0度・90度・180度・270度の状態についてこの名が付いています。まあ、他にも付けられないことはないでしょうが、細かに付けてもそれに何か意味があるとも思えないので、この4種類程度が妥当でしょう。
    HomePageの今月の月や月齢カレンダーに表示している満月等の月の名前はこの天文学的名前です。
     
  2. 旧暦日的名称 
    三日月・十五夜の月・十六夜月といった旧暦の日付に密接に関係した呼び名をこう呼びます(私の勝手な命名です)。旧暦の日付を関した呼び名なのでこのように名付けました。

    例えば、伝統的に旧暦の15日の月は「十五夜の月」と呼ばれ、満月だとして扱われて来ましたが既述した現代の定義での満月がこの日となるとは限りません。いやそれどころか十五夜が満月で無いことの方が若干ですが多く、1〜2日ずれることがかなりあります。このため、「満月」と「十五夜」が別の日になる場合があります。

    実際の満月から1〜2日程度ずれたとしても、肉眼で見て「月が欠けている」とすぐに解るほどの違いはありませんから、真ん丸に見える実際の満月より、ほんのわずかに欠けていたとしてもこの「十五夜の月」を仮の満月と考えた方がよい場合があります。たとえば中秋の名月は、実際の満月と異なる日であってもやはり旧暦の八月十五日に行うのが相応しいように。

    同様に、十五夜があれば翌日は十六夜、翌々日は立待月・・・というように長く人々に親しまれた伝統的な呼び名を使います。こうした使い方からすると旧暦日的名称というより伝統的名称とでも呼んだ方が良いのかもしれません。
     
  3. 見える時間帯による名称 
    夕月・宵月・有明月・暁月などがこれに当たります。
    その名前を見れば見当がつきますが、夕方見える月、夜(宵)更けに見える月といった意味。このためある日1日だけの呼び名というわけではなく、幅があります。
    また、いつからいつが「夕」で「宵」かといった区別は困難ですので、こよみのページでこの名称を使う場合は、旧暦の日付を月齢に近い意味合いで使って、或る範囲の旧暦日の間の月をその名称で呼びます。このため、他の方式での月の呼び名と重複する場合がありますが、その場合は個別の名称(前述、旧暦日による名称)を優先しています。
     
  4. 月の形状による名称 
    おそらく、この方式の呼び方が最も原初的な呼び名だと思います。
    繊月・眉月・弓張月・望月などの名が該当します。
    今ではあまり使われ無くなりましたが、王朝文学などには度々登場する名前ですので、文学的な表現としては生き残っているかもしれません。
     
さて、上記の書く方法で名付けられたと思われる月名をざっと列挙すると次の通り。中には、異なる命名法に重複して登場するものもあります。分類としては不完全ですが、この記事の元々の執筆動機がこよみのページで使用している名称の現状確認ということですので、不完全さについてはご容赦下さい。

月名と名付けの方法の関係
天文学的名称旧暦日的名称見える時間帯
による名称
月の形状
による名称
新月
半月(上弦)
満月
半月(下弦)

二日月
既朔
三日月
上弦の月
九夜月
十日月
十三夜月
小望月
幾望
十五夜
十六夜月
既望
立待月
居待月
寝待月
更待月
下弦の月
二十三夜月
二十六夜月
晦日月
夕月
宵待月
宵月
有明月
暁月
既朔
繊月
眉月
半月
上弦の月
弓張月
小望月
幾望
望月
既望
下弦の月

既に説明しましたが、幾つかの月には異なった命名法による複数の名前が付く場合がありますが、こよみのページのHomePageや月齢カレンダーで旧暦日に基づく月の名称および、形状による月の名称を用いる場合は、次の様な優先順位を付けて、表示を調整しております。
第一規則が有る場合はそれを、第一規則による名称が無い場合は、第二規則を当てはめ、それ以外にも()などを付けて別名表示を行う場合は、追加規則を使うことにしています。

こよみのページの旧暦日による月名命名規則
月名旧暦の日付第一規則第二規則追加規則
1旧暦日  
二日月2旧暦日  
既朔2旧暦日  
三日月3旧暦日  
眉月3  月の形状
上弦の月7旧暦日  
弓張月7  月の形状
夕月1-7 見える時間帯 
九夜月9旧暦日  
十三夜月13旧暦日  
小望月14旧暦日  
宵待月14  旧暦日
宵月14-22 見える時間帯 
十五夜15旧暦日  
望月15  月の形状
十六夜月16旧暦日  
立待月17旧暦日  
居待月18旧暦日  
寝待月19旧暦日  
更待月20旧暦日  
下弦の月23旧暦日  
弓張月23  月の形状
二十六夜月26旧暦日  
眉月26  月の形状
有明月23-28 見える時間帯 
暁月29-30 見える時間帯 
晦日月30旧暦日  

上記の名称は、いずれも伝統的・歴史的な月の呼び名ですが、この名称を使う場合は「旧暦日による月名」のような断り書きをしています。これがない新月・半月・満月は天文学的な名称とお考えください。

余 談
名称と文化
それぞれの文化において、重要なものには、名称の細分化が起こるといわれます。
食肉として、乳製品の原料を生産するものとして、あるいは農耕作業用として牛との関係が濃厚な欧米の言語には、日本語に比べて「牛」を表す単語が多く、四季の変化に富み雨も多く、それが稲作と密接に結びつく日本では、「雨」に沢山の名前があるようなものです。
今回改めて月の名前について記事を書いてみると、月の名前の多いこと。今回書いたものなどほんの一部。外国の言葉に詳しくないので他国の事情はわかりませんが、少なくとも日本においては、月は大層重要なものとして、昔から注目されていたようです。
名称と文化・その2
近頃では「眉月」といってもそれがどんな月か伝わらなくなりつつあります。
言葉が失われると、それが表す概念もまた文化から失われる。みんな、月を見ることが減って、日本から月の文化が消えようとしているのでしょうか?
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