暦のこぼれ話
「八専」とその「間日」の話
本日の暦データに、「八専間日」とありましたので、今日の暦のこぼれ話はこれにまつわる話を採り上げることにしました。いつも話の種に困っているかわうそですので、使えるものは使わないと。
ちなみに、八専(はっせん)とは、日の干支の組み合わせによって決まる暦注の一つで、壬子~癸亥までの12日の間で、日の十干と十二支の五行(ごぎょう)が同じ配当となる8日を八専と呼びます。
※五行は「木火土金水」の5つの基本となる性質の組み合わせによって、森羅万象のすべてを説明しようとした古代中国の思想です。
八専は元々は軍事上の忌日でしたが後には、吉事は更に吉・凶事はさらに凶となる日とされるようになりました(現在はもっぱら凶日として扱われるようになっているようです)。また、八専が現れる12日の期間には、干支の五行が揃わない4日(癸丑、丙辰、戊午、壬戌)があり、この4日を八専の間日(まび)といいました。
今回取り上げた八専(はっせん)は2026/10/5~10/16のうちの8日で、今日はこの期間中で八専とならない4日間、八専の間日の一つ(癸丑の日)です。
「八専」の撰日法
八専という暦注の日取りがどのように決められるか、もう少し詳しく見ていくことにしましょう。
暦注の日取りの計算の方法を撰日法といいます。撰日法には、途切れること無く循環する「不断」といわれるもの、二十四節気の節で区切った期間によって数える節切り、旧暦の暦月毎に数え方を変える月切りなどが有りますが、八専は日の干支によって決まる暦注です。
日の干支とは、十干(じっかん)と十二支(じゅうにし)の60の組み合わせを毎日一つずつ割り付けたもので、60日毎にめぐってきます。例えば今日は「癸丑(みずのとのうし)」で、明日は甲寅(きのえとら)とります。
八専はこの日の干支の組み合わせによって決められる暦注ですから、その撰日法は連続して循環するタイプ、「不断」と呼ばれる撰日法によって求められる暦注です。八専は日の干支の組み合わせによりますから、60日間に一度は八専は巡って来ることになります。
大体、この日の干支で決まる暦注というのは、その干支(「干」を天干(てんかん)、「支」を地支(ちし)と呼びます)を五行説に従った解釈の結果から意味付けられたもので、現代から見ればこじつけ以外の何物でもないのですが、その迷信を信じている人は多いようです。困ったものです。
五行説(万物を、木火土金水の五つの性質で分類したもの)から見た天干と地支の性質は、次のように考えられます。
天干 甲乙:木 丙丁:火 戊己:土 庚辛:金 壬癸:水地支 寅卯:木 巳午:火 丑辰未戌:土 申酉:金 子亥:水
:後に書かれた「木、火・・・」が五行説から見た性質です。(詳しくは http://koyomi8.com/doc/mlwa/200611180.html などを参照)
八専は日の干支が壬子~癸亥までの12日間のうちの 8日間。残り 4日間は八専の間日(まび)といわれ、例外の日です。
八専は天干と地支の性質が同じになる日が並ぶ時期です。例えば最初の壬子は、天干は「壬」でその性質は「水」。地支は「子」でその性質はこれもまた「水」。つまり天干と地支の関係が「水・水」となるわけです。
こうした天干と地支の性質がそろうことを「専一(せんいつ)」といい、八専は専一となる日が一カ所に集まっている期間です。専一の日は天干・地支とも同じ性質なので、善いことは更に善く、悪いことは更に悪くなるというような増幅効果がある日だと昔の人は考えたのです。ですから、吉事には善いのですが凶事には注意しなければならないと云うことです。
八専の間日とはこの天干・地支の関係が専一とならないため、この期間の例外とされています。
八専は六十干支の組み合わせで出来たものですから60日毎に巡ってきます。暦と云えば日の吉凶判断とばかりにこうした暦注を見ては日の吉凶を気にする方が多いのですが、八専など今から見ればただの数字の遊び。こんなものに振り回されて、道を誤ることのないように。(日刊☆こよみのページの読者の皆さんは大丈夫でしょうけれど)
話の種に困って、八専とその間日の話に飛びついておきながら、最後はその八専をくさしてしまいましたね。ごめんね、八専さん。そして八専の間日さん。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、koyomi8kanri@gmail.com までお願いします。)