暦のこぼれ話
「寒露」の日に季節のめぐりの話
二十四節気は今日(10月8日)から「寒露(かんろ)」となります。寒露は「九月節」とも呼ばれ、節切りの暦ではこの日から九月となります。
現在は、太陽の中心が黄経(黄道座標の経度)195度を通過する瞬間を含む日を「寒露」の節入りの日としています。2026年はその日が今日、10月8日です。寒露は江戸時代に出版された暦便覧という本では
陰寒の気に合って、露むすび凝らんとすれば也
と説明しています。このころになると秋もその深さを増して、朝夕は草の上に冷たい露を結ぶようになるという意味でしょう。朝、散歩(たまにしかしませんけど)をしていると、確かに草の葉には露が結んでいます。
夏草に結ぶ露ならば、露に濡れても暑さをしのぐ一助ともなって心地よいものですが、寒露の頃の露に触れると、その冷たさに思わず身震いしてしまいます。
金生水(きんしょうすい)
このコーナーで、度々登場する中国の古代哲学である五行説では、秋は金気、つまり金属の性質を持った季節とされています。金属は、触れば堅くて冷たいものです。
金属のこの「堅い」という性質から、秋は堅い木の実(栗やどんぐり、椎の実など)、穀物の実(稲や大豆)が実る季節なのだと古代の人々は考えました。
また、ひんやり冷たい金属の表面には露がつきやすいことから、金属は水を生み出す性質があるとも考えられました。この金属が水を生み出す(ように見える)現象を五行説では「金生水(金、水を生ず)」と言い表します。
※五行説では「金生水」のように、ある性質が別の性質を生み出す元となるような関係を「相生(そうじょう)」といい、「木性 → 火性 → 土性 → 金性 → 水性 → 木性 →・・・」と循環してゆくと考えました。
秋という季節は五行説では金性とされましたから、秋の季節に含まれる二十四節気の中に白露や寒露という「露」という文字を含む節気が多いのもうなづけます。秋は、実りをもたらすとともに、大気を冷やしてせっせと水を生み出す季節なのですね。
秋も終盤
寒露は暦の上の秋の始まり、立秋から数えて60日目頃。一年を四季に分割すれば一つの季節の長さはおよそ90日ほどですから、秋もそろそろ終盤に入るといえそうです。
このころになると菊の花が咲き始め、秋の野にも様々な花を見ることが出来ます。山の木々の葉はそろそろ紅葉の準備に入るころですし、足下の草には美しく輝く露が付き、目を楽しませてくれるようになります。
そしてこの寒露の頃を過ぎて、更に寒さが増して行けば、やがて冬がやってきます。冬は五行説では水気の季節。
金気の秋が草の上に露を結ぶことを繰り返すと、やがて水気の冬が来る。古代の人々はこうして四季が交替して行くと考えたのでしょう。
とっても単純な考えですけれど単純だからこそでしょうか、妙に納得できるものがありますね。そんなことを考えてしまう、寒露の節入りの日のかわうそでした。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、koyomi8kanri@gmail.com までお願いします。)