日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
【尽く書を信ずれば則ち書無きに如かず】 (ことごとくしょをしんずれば すなわちしょなきにしかず) 書物に書かれていることを、真偽の判断もせずすべてそのまま信じるならば、 なまじっか書物などない方が良いという意味。出典は『孟子』。 今はこの「書」は書物全般をさす言葉として使いますが、孟子で言うところ の「書」は『書経』のこと。言わば聖典です。 その聖典ですらすべてが正しいと盲信してはならないというのですから、他 の書物に至っては言わずもがなのことです。 「書」に書かれていることは答えではなく、答えを導くための材料に過ぎま せん。答えは自分の中にしかないのです。 沢山の「書」を読んで沢山考えるしかないのです。 書物自体が大変貴重だった孟子の時代からは想像も出来なかったことでしょ うが、現代は「書」があふれています。インターネットが普及して誰でも 「書」らしきものを書けるようになった今、「書」は洪水を起こしています。 ちょっとしたことならインターネットを「ググル」と簡単に答えが得られる 便利な時代になりました。ですがググッて得た答えが本当の「答え」かどう かは判りません。便利になったが故に、落とし穴も大きくなっています。 「尽く書を信ずれば・・・」、もう一度思い出した方が良い言葉ですね。
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