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【葦牙】(あしかび) 葦の若芽。春の季語。 古事記上「葦牙のごと萌えあがる物」 《広辞苑・第六版》 葦の若芽。 春になると水辺の葦が芽吹き、水面にその尖った新芽が点々と顔を出します。 水面から出たその尖った新芽を牙や角、錐に見立てて葦の牙、葦の角、葦の 錐などともいいます。 私は子供の頃、川のすぐ近くに住んでいました。 家から歩いて数分の川の川原には葦の原が広がっていて、一年を通して私の いい遊び場になっていました。 春になり、冬の間は雪に隠れていた川原の黒い土が姿を現す頃になると、氷 の消えた川の水面に葦の牙がその姿を現しました。 水温む頃とはいいながら、手を差し入れれば切れるほど冷たい川の水を葦の 牙が切り裂いている。 葦牙のある風景は私にとって、懐かしい春の眺めです。
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