日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
【花は愛惜にちる】 (はなは あいじゃくにちる) 道元の正法眼蔵にある言葉。 「花は愛惜に散り 草は棄嫌におふるのみなり」 花は惜しんでも散ってしまい、草は放っておいても、嫌っていても生い茂っ てくる。それが「生」というものであるという意味でしょう。 風雨の強い夜が明けた後、地面に散り敷かれる桜の花びらを眼にするとこの 言葉が思い出されます。 桜の花を眺めて、いつまでも咲き続けて欲しいと願うのが人間かもしれませ んが、造花のように本当に桜の花がいつまでも咲き続けるようになってしま ったら、桜は今のように愛される花でいられるでしょうか。 花は愛惜に散り、季節が巡って再び春が来れば再び開く。 桜の花が愛される理由はこうした生の循環を、もっとも見事に体現する花だ からではないでしょうか。
日刊☆こよみのページ スクラップブック