日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
【卯の花腐し】(うのはな くたし) (クタシは、グタシ、クダシとも。卯の花を腐らす意) さみだれの異称。 謡、歌占「時しも―のさみだれも降るやとばかり」。 日葡辞書「ウノハナクダシ」 《広辞苑》より 旧暦の四月は「卯月」。また「卯の花月」とも呼ばれます。 この呼び名は、卯の花が咲く月だからついたという説もありますが、卯月に 咲く花だから卯の花だという説も有ります。 さて、どちらが鶏でどちらが卵でしょうか? 暦月の名と花の名前の鶏と卵論争はさておくとして、卯の花の咲く季節であ ることは確か。 この卯の花の咲く季節に降る雨を、「卯の花腐し」と言います。卯の花を腐 らせるような長雨ということです。春雨と梅雨の間、本格的な梅雨の前触れ、 走り梅雨の呼び名だと言われます。 せっかく咲いた卯の花を散らせてしまう雨だから、「卯の花降し」と書くの だとも言います。 自宅の裏山にも卯の花が自生しており、家からほんの 5分その山の中へ足を 踏み入れれば、野生の卯の花を見つけることが出来ます。 雨の日に傘をさし、靴を濡らしながらこの山に入ると山の木々の間に、白く 並んだ卯の花が、枝や葉や花の上に雨粒を載せて咲いています。 名前では卯の花を腐らせたり、降したりする卯の花の天敵のような雨ですが、 雨の中の卯の花は美しく、それを見れば卯の花と卯の花腐しの雨は存外、仲 がよいものなのかもしれないと思えてきます。
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