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【生き様】(いきざま)
自分の過ごして来たぶざまな生き方。転じて、人の生き方。《広辞苑》

昨日は片棒を担ぐという言葉を書きました。
そして、なぜ「片棒を担ぐ」が専ら悪事にしか使われないのかと疑問を呈して
終わりました。今のところこの疑問は解けていません。

さて、本日の言葉は「生き様」。
「片棒を担ぐ」が悪い意味だけに使われるようにその用途が狭まっているのに
対してこちらは、本来は悪い意味でだけ使われていたはずが、いつの間にか良
い意味にも使われるようになった言葉。
使用範囲は目下拡大中です。


実はというかなんというか私はこの言葉が嫌いです。
嫌な言葉なので自分では使いませんし、使わないように気をつけています。

「様」を「ざま」と濁音付で読むときには嘲りの意味が含まれます。
「無様(ぶざま)」であるとか、「様(ざま)はない」のように使うときには
この嘲りの意味が明確。

「生き様」も「様」が濁音で読まれますから、やはり嘲りの意味があります。
ですから、広辞苑の意味を見ても「ぶざまな生き方」とあるのでしょう。

 「先輩、あなたの生き様を見せて下さい」

なんて使い方がはびこりつつありますが、つまりはあなたの無様な生き方を見
せて下さいといっているわけで、言われたほうとしたら少々「ムッ」としない
といけないでしょうね。

「私の生き様」と言うなら、自嘲的意味を込めて使っているととれますから、
使い方としてはおかしくありません。また自嘲的に使えば何となく格好良くも
聞こえますから、この「格好良い」部分が一人歩きを始めて、現在のように自
分以外にもこれを使うようになったのではないでしょうか。

そんな風に考えて行くとこの言葉が広く使われるようになってきた理由も分か
りますけれど、でも私は使いません。
「頭が古い」といわれても、気にくわない言葉は使いたくない。
過去の遺物になったってかまうものかと思う、今日のかわうそ@暦でした。

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