日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
【白夜】(はくや) 北極または南極に近い地方で、夏、日没から日の出までの間、散乱する太陽 光のために薄明を呈すること。びゃくや。 《広辞苑》 私の年代(か、それより幾分上の皆さん方)は 「知床の岬にハマナスが咲く頃・・・」 という歌詞で始まる「知床旅情」という曲をご存じでしょう。 私も子供心に、 「知床と言うところまで行けば、白夜という状態が体験出来る」 と思ったものです。 確かに北海道は本州や、九州、沖縄などに比べれば夏の日は長いのですが、 実際は白夜と呼ばれる状態までなることは有りません。 広辞苑の記述では、日出没があってもよく、ただ薄明(朝夕の、薄明るい様 子)の状態が続く場合も白夜と呼ばれると言うことなら、多少地域の制限は 緩和出来そうですが、それでも北海道にそんな状況を望むのは無理。 あれは、詩情を誘うために入れた言葉だったようです。残念。 普通、白夜が見られる場所としては南北66.6°以上の極北の地域。この角度 は地球の自転軸の傾き23.4°から来ます。 66.6° = 90° - 23.4° という計算です。北海道はその北端まで行っても北緯45°を超えることはあ りませんから、白夜が起こる場所にはほど遠いと言うことになります。 ◇「白夜」は「はくや」 今回調べていて驚いたのは、 白夜 = はくや ・・・ ○ 白夜 = びゃくや・・・ △ (間違いじゃないけど・・・) ということだと言うこと。今まで「びゃくや」が正しいと思って、一度も疑 ったことが有りませんでした。 でも本来は、「びゃくやとも読む」といったものだったのですね。 広辞苑(第五版)の記述も、そうなっていました。 ではなぜ、「びゃくや」という読みが一般化したのかというとこれが、先の 知床旅情のヒットだったそうです。 歌の中で「びゃくや」としていたため、これが人口に膾炙して、一般的には 「はくや」より「びゃくや」の方がなじみのあるものになってしまったよう です。 この辺の事情は始めて知りました。 私は、物心付いたときから、「びゃくやは明けぬ」だと思っていたのでした。
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