日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
【原爆忌】(げんばくき) 広島 8/6,長崎 8/9 を原爆忌という。 原爆忌は、秋の季語。 季語は、連歌・連句・俳句で、句の季節を示すためによみこむように特に定 められた語。季の詞ことば。季題。 季語には鶯といえば春、金魚といえば夏、月と言えば秋、雪と言えば冬とそ れを聞いただけで季節の情景が浮かぶ言葉が選ばれています。 季語というと、古くから決まってしまっているものと誤解する方がいるので すがそうではなく、その時代時代に生きた人々が季節を思い浮かべる言葉が 新しい季語として加わって行きます。 そうした新たらしい季語の一つにこの「原爆忌」があります。 人間が初めて原子爆弾の光を目にしたのは1945年の 7月。 一般の人々の目にふれたのはその年の 8月。広島と長崎に投下された原子爆 弾によってでした。 そして一瞬にして数万人もの命を奪ったその光の光った日が、原爆忌として、 新しい季語の一つとして記憶されることになりました。 あわれ七ヶ月のいのちの はなびらのような骨かな なにもかもなくした手に四枚の爆死証明 (松尾 あつゆき) 言葉は変わって行くものですから、生まれて行くものが有れば消えて行く言 葉も有ります。無くしたくない言葉もあれば、そうでない言葉もあります。 「原爆忌」と言う言葉も、いつか使う必要がなくなって誰も思い出せなくな るような日が来ればいいと思いますけれど、そういう日が来るまでは、この 言葉が忘れられなければいいなと思います。
日刊☆こよみのページ スクラップブック