日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
【草の花】(くさの はな) 数々の野草の花。 特に、秋咲く花をいい、可憐で小さい花が多く、「千草の花」といわれるほ ど種類も多い。秋の季語。 《広辞苑》 道ばたや野原に咲く草花を総称して草の花と言います。 春にしろ夏にしろ、草の花は咲きますが、ことさらに「草の花」と言うとき には秋の言葉となる辺りは、一年を通して目にすることが出来る月を、特別 に「月」として採り上げるときに秋の月を意味することに似ています。 花の季節というと、春と秋が思い浮かびますが、頭に浮かぶイメージは、春 と秋では大分違います。春の花と言う言葉からは華やかでうきうきしたイメ ージが、秋の花という言葉からはしっとりと落ち着いたイメージが私には浮 かんできます。 どうしてこう違うのかなと自分のイメージを点検してみると、春と秋の花の 差はどうやら、花と草の花の違いのようです。 春の花は、まず「花」が浮かぶのですが、秋の花と言うと最初に浮かぶのは 花ではなくて「草」。花はその草草の間に咲くものとして、草の後からやっ て来るように思えます。皆さんはどう思いますか? 草の花はまた、千草(ちぐさ)の花とも百草(ひゃくそう・ももくさ))の 花とも呼ばれ、小さく色も目立たないものが多く、それ故人の目にとめられ ることも少ない花。その目立たない花が楚々と咲く繊細な美しさ、野趣が愛 されて「草の花」という特別な言葉となったのではないでしょうか。
日刊☆こよみのページ スクラップブック