日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
【眉唾】(まゆつば) (眉に唾をつければ、狐狸にだまされないという俗信に基づく)欺かれない ように用心をすること。 「眉唾物(まゆつばもの)」といえば、いかがわしいもの。真偽の疑わしい ものとなります。怪しいものだから用心してかからないといけないものとい うことで、眉唾物といわれるのでしょう。 では元となった眉唾ですが、何故眉に唾をつけると狐や狸に化かされないの かというと、狐や狸は人の眉毛の本数を数えてその人の心を読むのだとか。 眉に唾をつけると眉毛がくっつきあって本数が数えにくくなるので、心を読 まれにくくする効果があり、結果としてだまされないということになるらし い。 江戸時代に十返舎一九によって書かれた東海道中膝栗毛においても、吉田の 宿を過ぎたあたりで、旅人をだます狐の話を聞いた弥次が唾を付けながら歩 いて行く場面があります。眉毛に唾を付けると狐に化かされないという俗信 が広く知れ渡っていたということでしょう。 ◇眉毛の数と心の中身 眉毛がぽろぽろ抜けて本数が変わるより、人の心変わりの方がずっと早いし 頻繁でしょうから、狐や狸はその点をどう克服して心を読んでいるのか謎で すが、まあここは「俗信」ですから深く追求しないことにしましょう。 世知辛い世の中になって、今では本物の眉毛を剃っている方もいる時代。こ んな人相手では山から出てきた狐や狸が人を化かそうとしても眉毛の本数を 数えることが出来ない。 狐や狸にとっては、人間以上に世知辛い世の中になっているようです。 既に見てきたように狐や狸に化かされることに関しては、現代はかなり防御 法が発達し広がっているようですが、たちの悪いのは人間達の騙しあい。 人間相手だと眉に唾を付けたくらいでは身を守ることは出来ません。 皆さんくれぐれも、騙されないように注意しましょう。
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