日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
【村雨】(むらさめ) (群になって降る雨の意) 叢雨(むらさめ)。一しきり強く降って来る雨。 にわか雨。驟雨(しゅうう)。白雨。繁雨(しばあめ)。 《広辞苑・第五版》 急に降り出したかと思うと不意に止み、止んだかと思うとまた降り出すよう な雨。群れになって降る雨であるから「群雨(むらさめ)」と呼ばれます。 語源からすると叢雨や群雨が本来で、「村雨」は後から生まれた言葉のよう ですが、私はこの文字から「村々に降る雨」というイメージを連想してしま います。 季節の頃は夏から初秋にかけて。急に降り出した雨に濡れた他の畦の草と、 畦道の向こうに白く霞んだ茅葺家が見える気がするのです。 雨降りの天気だと外へ出るのが億劫になってしまいますが、村雨の場合は間 もなく雨はあがります。 雨があがって外に出ると、今しがたまで降っていた「億劫の元」であった雨 が去ったことが惜しい気分となることがあります。 もしかすると村雨が見せてくれる「村々に降る雨」の幻が雨があがると共に 消えて行くことが惜しいのかも知れません。 なお、私にとっては夏から初秋の雨が村雨ですが、村雨自体には特定の季節 を表す意味は有りません。俳句などでは無季として扱われる語です。
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