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【袖振り合うも多生の縁】(そでふりあうも たしょうのえん)
 見知らぬ人とたまたま道で袖をすり合わせるというのも、前世からの深い因
 縁によるものであるということ。人と人との関係は単なる偶然によって生ず
 るわけではないので、大切にしなくてはならないという仏教的な考え方。
 「袖振り合う」は「すり合う」ともいい、さらに「袖の振り合わせも・・・」
 ということもある。
 「多生の縁」は「他生の縁」とも書く。
   《成語林》

 改めてこの語を辞書で引いて、ちょっとビックリしました。
 ずっと「袖すり合うも他生の縁」だと思っていたので、違った言葉のような
 感じを受けます。解説を読むと「すり合う」も「他生」も間違いではないと
 のことですので一安心でしたが、一般的な用法ではなかったようです。

 「多生」は現世の前に積み重ねた数多くの前世。その数多くの前世の因縁が
 積み重なった結果が現世で袖を振り合うという出会いになっている。さらに
 そうした現世の因縁も来世の縁に繋がってゆく。

 輪廻転生という仏教的な観念を離れても、一つの出来事の裏には、沢山の出
 来事があり、一つの結果の裏には数え切れない程の物事が遠因として作用し
 ているということを思い起こさせられる言葉です。
 逆の見方をすれば、何気ない一事が、ひと言が大きな出来事、大きな出会い
 の元になることもあるのだと考えることも出来ます。

  前世・現世・来世の結縁
  現世の過去・現在・未来の因果

 目の前の出来事と繋がるそうしたものを思い出させてくれる言葉です。
 この文を偶然に目にしたという方とも、多生の縁で繋がっているのですね。
 この繋がりを大切にしましょう。

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