日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
【空蝉】(うつせみ) (「現人(うつせみ)」に「空蝉」の字を当てた結果、平安時代以降にできた 語) 1.蝉のぬけがら。夏の季語。古今和歌集哀傷「空蝉は殻を見つつも慰めつ」 2.転じて、蝉。後撰和歌集夏「空蝉の声聞くからに物ぞ思ふ」 3.魂がぬけた虚脱状態の身。新内、藤葛恋柵「身は空蝉の心地して」 4.源氏物語の巻名。また、その女主人公の名。伊予介の妻。源氏に言い寄ら れるが、その身分や立場のゆえに悩む。 夫の死後は尼となり、やがて二条院に引き取られる。 これを書いているのは、8/22。 残暑も止んで「秋」という言葉がしっくり来る頃になりました。 喘ぐような暑さの日々も去ってしまうと、なんだか辛かったはずの暑い夏の 日々が懐かしいような、夏が終わることが惜しいような気がしてきます。 夏の去るこんな時期に草の葉の陰や、木の葉の裏、街路樹の幹などにしがみ ついたままの蝉のぬけがらが見つかります。 長い時間地中で夏を待ち、夏の訪れとともに羽化して、そしておそらくはこ の地上からは姿を消してしまっているだろう蝉の、その一生の記憶が結晶し たかのように、蝉の消えた地上に空蝉だけが残っています。
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