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【舌禍】(ぜっか)
 1.他人の悪口・中傷などによって受けるわざわい。
 2.演説・講演などの内容が、法律にふれたり他人を怒らせたりして受けるわ
  ざわい。「舌禍を招く」「舌禍事件」
   《広辞苑・第五版》

 大臣が失言がもとで更迭されることが続いたことがあります。
 まあ、中には失言ではなく信念を持ってその言葉を使っている方もいらっし
 ゃったので全部を「失言」と括ってしまうのは失礼ですね。
 まあ、信念があって語った言葉でも単なる失言でもどっちにしても発言がも
 とで禍があるならそれは「舌禍」と言って良いでしょう。

 もっとも、言論を以て国を動かすのが政治家であれば、地位を逐われること
 がわかっていても信念を持った発言はしなければならないでしょうから、そ
 の場合は単に禍とするのは正確ではないかも知れません(と思える例は少な
 く、多くは単なる馬鹿な失言ですけれど)。

◇舌禍の主役の様変わり
 「舌禍」による大臣更迭が一段落したかと思ったら、今度は更迭する立場に
 ある方が舌禍の中心人物となってしまっています。こうなると舌禍による大
 臣更迭はしばらくないかもしれませんね。そんなことまで手が回らないでし
 ょうから。

 私も禍の元になるような発言をしてしまう方ですが(結構その禍を被ってい
 るかも)、あれほどの立場に立ってあれくらい程度の低い舌禍を招く方はな
 かなかいらっしゃらない。私如きでは足下にも及びません。あそこまでいけ
 ばある種貴(希)重な存在にすら思えて来ますから不思議です。

 総理大臣という地位は、なにがしか人から抜きん出た能力が無いと務まらな
 いものだと思いますが、「舌禍の能力」が抜きん出ている言うのは、この条
 件に入れて良いのでしょうか?

 彼の方の場合、指摘されると直ぐさま撤回したり言い換え(かなり苦しい場
 合が多いですが)たりしているので、信念があって禍の渦中に入っているわ
 けではなくてただの失言のようです。日刊☆こよみのページには誇るべき有
 能な隅掘り隊が存在しますが、一国の総理ともなれば更に優秀な隅掘り隊が
 そろっていることでしょうから、失言は見逃されませんね。

 言論を以て国を動かそうと言う政治家ですからその言論のもとである言葉に
 はもう少し気を遣って欲しいものです。ホントに。

◇本当は「綸言」かな?
 総理大臣という立場からすれば、舌禍などという言葉ではなくて、

  【綸言汗の如し】(りんげんあせのごとし)

 という言葉で紹介したいところでしたが、これは既にコトノハで取り上げて
 しまった言葉ですので今回は「舌禍」で取り上げてみました。
 綸言汗の如しについては以前に書いたコトノハ、

  【綸言汗の如し】 http://koyomi8.com/doc/mlko/200707040.htm

 をご覧下さい。

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