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【暁と曙】 【暁】(あかつき) (アカトキ(明時)の転) 1.夜を3つに分けた第3番目。宵・夜中に続く。 現在では、やや明るくなってからを指すが、古くは、暗いうち、夜が明け ようとする時。よあけ。あけがた。 古今和歌集恋「有明のつれなく見えし別れより暁ばかり憂きものはなし」。 源氏物語明石「たち給ふ暁は夜深く出で給ひて」。「暁の光」 2.ある事柄が実現したその時。「成功の暁には」 【曙】(あけぼの) 夜明けの空が明るんできた時。夜がほのぼのと明け始める頃。あさぼらけ。 枕草子「春は曙」 《いずれも、広辞苑・第五版より》 今まで、「暁」と「曙」の違いは何だろうと時折思いましたが、暁より曙は 少しばかり日の出に近い、明るくなってきたイメージかななどと思うだけで きちんと確かめたことがありませんでした。 これはいかんと今回調べてみたところ、現在はその区別が曖昧になってきて いるものの、昔は暁と曙の間にはかなり明確な区別があったようです。 「暁の空にかかる月」などというと、東の空が仄かに明るく色づいた頃の空 に昇る細い月のイメージを持っていましたが、説明を読んでみると昔はその 「仄かに明るく」なる前の時間帯を暁と呼んでいたようです。 現在、このような時間帯を表す言葉とすれば、「未明」あたりがそれでしょ うか。これに対して曙は、空がやや明るくなる時間帯。 「暁」と「曙」には明るくなる前か後かというはっきりした区別があったわ けで、言葉の使い分けということで考えると、昔の方がわかりやすかったよ うです。 現在は、二つの言葉の境界はやや曖昧になってしまったようですが、どちら を使うべきか悩んだときには、昔の意味に立ち返って考えてみるといいのか も知れません。
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