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【病膏肓に入る】(やまい こうこうに いる)
 [左伝成公十年](病が重くなった晋の景公の夢に、二人の子どもとなった
 病魔が名医の来ることを知って、肓(こう)の上、膏(こう)の下に隠れた
 という故事から)
 1.不治の病にかかる。また、病気が重くなってなおる見込みが立たないよう
  になる。
 2.転じて、悪癖や弊害などが手のつけられないほどになる。また、物事に熱
  中してどうしようもないほどの状態になる。
   《広辞苑・第五版》

 春秋左氏伝に登場する話です。
 晋という国の君主、景公の病状が一向によくならないので隣国の秦から緩と
 いう名医を呼び寄せて、診察させることになりました。

 緩が到着する前夜、景公は夢を見ます。
 夢の中には二人の子供が出てきてなにやら困ったことが起きたように相談を
 していました。その内容を聞いてみると、

  「秦から緩が来るらしいな。」
  「緩は名医だから俺たちをやっつけてしまうだろう。どうしよう。」
  「そうだ、肓(こう)の上、膏(こう)の下にある場所なら、鍼(はり)
   も届かない、薬も効かないと言うぞ。そこに逃げ込もう。」
  「そうか、そこがあったか。では早速そこへ逃げ込もう。」

 二人の子供は相談がまとまってその場を離れて行きました。
 一夜明けて、名医緩が到着し、景公を診察しましたが緩の表情は暗いもので
 した。
 病の具合を景公に尋ねられた緩は、

  病は、肓の上、膏の下に入り込んでしまっています。
  この部分は、鍼でも薬でも治療出来ないところです。
  ここへ病が入ってしまっては、どんな治療も効果がありません。

 この診断を聞き終えた景公は、「お前は噂どおりの名医だ」とその診察に対
 して沢山の褒美を与えて帰したといいます。
 ちなみに「肓」とは横隔膜のこと、膏とは心臓の脇にある脂肪のことだとか。
 現在なら、この部分に入り込んだ病気でも治すことが出来るでしょうか?

 私の場合、身体の方の問題は今のところ無いようですが、病気になっても止め
 られないことがいくつもあって、無理をしてしまうことが度々あります。
 辞書の解説 2の意味で、膏肓に入ってしまったものが沢山あって困っています。

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