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【夕立】(ゆうだち) (一説に、天から降ることをタツといい、雷神が斎場に降臨することとする) 1.夕方、風・波などの起り立つこと。風雅和歌集夏「夕立の風にわかれて行 く雲に」 2.夕方、急に曇って来て激しく降る大粒の雨。夏の夕方に多く、発達した積 乱雲によって起り、雷を伴いやすい。白雨(はくう)。夕立の雨。 夏の季語。李花集「夕立はみかさとりあへず過ぎぬれど」 《広辞苑・第七版》 古語に「ゆふだつ」という言葉があります。 夕方に向かって風、波、雲が急に起こることを表す言葉だそうです。 「夕立」はこの「ゆふだつ」の名詞形で、暑い夏の日の夕方に烈しく急に降 りだす雨を指す言葉です。 夕立は「牛の背の片側には降らない」とか「夕立は馬の背を分ける」などと いわれることがあります。夕立の降り方が極めて局地的であることが多いこ とから、こうした言葉が生まれました。 街の通り一本を隔てただけで、一方は激しい雨が降り、一方には陽が当って いる光景を目にしたことがある人も多いことと思います。 これは、夕立が発達した積雲や積乱雲の下にだけ降る雨だからです。遠くか ら夕立の降る様子を眺めると、まるで雨のカーテンがある如くくっきりと、 雨の降る領域と、降らない領域が分かれて見えます。 近頃は都市の特殊な気候と相まって、ゲリラ豪雨と呼ばれるような局所的に 災害をもたらすような危険な夕立も出現するようになりました。こうなると 一雨来て涼しくなった などと、悠長なことをいってばかりもいられなくなりました。 夕立は夏の風物詩ではありますが、その風物詩も時代とともに少しばかりそ の姿を変えてきたようです。風物詩である夕立が姿を変えたのではなくて、 人間の方が夕立の姿を変えてしまったのかもしれませんね。
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