日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
【あかまんま】(赤飯) イヌタデの別称。あかのまんま。 《広辞苑・第五版》 「イヌタデの別称」とありますので、広辞苑でさらに本名の「イヌタデ」を 引いてみると、 【いぬたで】(犬蓼) タデ科の一年草。山野に普通で、高さ約30センチメートル。 葉の基部の鞘状の托葉が茎を囲む。夏から秋、葉腋と茎頂に紫紅色の小花 が穂をなす。アカマンマ。アカノマンマ。「犬蓼の花」は秋の季語。 とあります。イメージはわきましたか? 秋になると田んぼの畦や野原、道ばたとどこででもよく見かける植物ですの で、おそらく誰でも目にしたことがあると思います。 「きれい」というより「かわいらしい」という言葉が似合うあかまんまです。 粒々の赤い花をこそげ落とすと、その粒々が赤飯の赤い米の粒のように見る ことから、子供のままごと遊びの食卓では、めでたい赤飯として扱われるあ の草ですと云えば、ああなるほどと、うなずいてくださる方も多いのでは。 今でこそ、どこででも見かける日本の野草の一つですが、このあかまんまこ とイヌタデは有史前に海を渡って渡来した植物なのだそうです(こうした植 物を「史前帰化植物」と呼ぶそうです)。昔々に日本には無かったんですね。 おそらく、日本に稲が渡来しときに、稲に混じってちゃっかりこのあかまん まの種も日本にやってきたのだろうと考えられています。 今でもこの植物が深い山中などでより、人間の住む場所の近く、田んぼのあ るような場所に多く見られるのは、この草がこうした来歴を持つ植物だから なのでしょう。 遙かな昔、稲穂とともに海を渡ってやってきたあかまんまは、ままごと遊び の中で赤い米の飯、赤飯の代用として親しまれています。 稲穂とともに初めて日本にやってきた日から二千年近い歳月を、あかまんま は稲と共に生きて来たわけです。 あかまんまは、これからも一緒に海を渡った稲とともに、日本の秋を彩る草 であり続けてくれることでしょう。
日刊☆こよみのページ スクラップブック