日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
【心が折れる】 ⇒心折れる 【心折れる】 気持ちや考えがそちらに向かう。また、気持ちが弱る。心が折れる。 「妹の説得に父も心折れたようだ」「相次ぐ困難に心折れる」 《デジタル大辞泉 http://kotobank.jp/dictionary/daijisen/ より》 コトノハに採り上げる言葉の多くは、私の好きな言葉ですが、たまにその逆 の嫌いな言葉も採り上げることがあります。 今回の「心が折れる」は後者の「嫌いな言葉」の方です。 近頃は話し言葉として聞くだけでなく、新聞などでも使われることのある一 般的な言葉のようです。 私の耳にした(目にした)用法はデジタル大辞泉の用例の二つ目にある「相 次ぐ困難に心折れる」に相当するもので、一つ目の用例の「「妹の説得に父 も心折れたようだ」というものにはまだ出会ったことがありません。 ◇二つの用例、私なら・・・ デジタル大辞泉の用例を私ならどう表現するだろうと考えると、 ・「妹の説得に父も心折れたようだ」 → 妹の説得に父も折れたようだ ・「相次ぐ困難に心折れる」 → 相次ぐ困難に挫けてしまった。挫折した。 こう書いてみると一つ目の「父も折れた」という私の表現は、「父も心折れ た」を省略した形なのかなという気もしましたが、それでもここに「心」を 入れると、なんだか座りが悪いように感じます。単なる慣れの問題かな? 挫ける、挫折も確かに折れるとか、曲がって傷つくという意味ですから「折」 のは同じですが、「心が折れる」と云われるとなんだか背中の辺りが痒くな ってしまいます。 どちらにしても、無理に「心が折れる」なんてしなくても、ごく普通の言葉 で表現出来そうに思える私です(ということで、私は多分「心が折れる」と いう表現は今後も使わないと思います)。 ◇「心が折れる」はプロレスから? 調べていたら、この「心が折れる」という表現はプロレス雑誌などで使われ はじめたものという説明を見つけました。 プロレス雑誌などで、単に負けたという以上の酷い負け方をした者に使った、 あるいは酷い負け方をした者が使った言葉のようです。 完膚無きまで負け方とか、そんな酷い負け方をして再起出来ないような状態 にあると云うことを表現したのでしょうか。 意味は分かってきましたが・・・それでもやはり「心が折れた」は使う気に なれない言葉ですね。
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