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【禾】(のぎ) 〔音〕<漢>カ(クヮ) <呉>ワ [字義] 1.いね(稲)。穀類の総称。「禾本科」 2.穀物。穀類の総称。 3.なえ(苗)。穀物の苗。 4.わら。穀類の茎 5.穀物の穂が出たもの。稲などの穂先についている毛。のぎ。のげ。 [解字] 象形。穂先が茎の先端にたれかかる形にかたどり、いねの意味を表す。 《新漢語林より抜粋》 【のぎ】(芒) 1.イネ科の植物の花の外殻(穎(えい))にある針のような突起。 のげ。〈新撰字鏡7〉 2.(「禾」とも書く)金箔・銀箔を細長く切った切箔(きりはく)の一種。 砂子などとともに絵画や装丁の飾りに用いる。野毛(のげ)。 《広辞苑・第六版》 「禾」については漢字の偏の一つ「ノギ偏」としてはよく知られていますが この文字単体ではあまり使われることのない文字です。 本日、このあまり一般的でない文字を採り上げたのは、七十二候の一つであ る、「禾実る」の時期に当たっているからです(2025年は9/2~6の間)。 「禾実る」は七十二候の四十二番目、処暑の末候にあたります。 さて、「禾実る」書いてどんな風に読むかですが、こよみのページでは 「こくもの みのる」 と紹介しています。「のぎ みのる」でもよいかと思うこともありますが、 「禾」を「のぎ」と読んでも、意味が通じないと思いますので、その意味か ら「こくもの(穀物)」としました。この方が、意味が通じそうですから。 この「禾」は、稲の穂に見えるあのとげとげを表す言葉でもあるとか。日毎 に秋らしくなる今日この頃、多くの地方でこの「禾」をつけた稲穂が頭を垂 れ、稲刈りを待つ時期となっているでしょう。もしどこかで、稲穂を目にす る機会がありましたら、「これが禾か」とその姿を確認してみてください。
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