日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)

【禾】(のぎ)
 〔音〕<漢>カ(クヮ) <呉>ワ
 [字義]
  1.いね(稲)。穀類の総称。「禾本科」
  2.穀物。穀類の総称。
  3.なえ(苗)。穀物の苗。
  4.わら。穀類の茎
  5.穀物の穂が出たもの。稲などの穂先についている毛。のぎ。のげ。
 [解字]
  象形。穂先が茎の先端にたれかかる形にかたどり、いねの意味を表す。
   《新漢語林より抜粋》

 【のぎ】(芒)
  1.イネ科の植物の花の外殻(穎(えい))にある針のような突起。
   のげ。〈新撰字鏡7〉
  2.(「禾」とも書く)金箔・銀箔を細長く切った切箔(きりはく)の一種。
   砂子などとともに絵画や装丁の飾りに用いる。野毛(のげ)。
   《広辞苑・第六版》

 「禾」については漢字の偏の一つ「ノギ偏」としてはよく知られていますが
 この文字単体ではあまり使われることのない文字です。

 本日、このあまり一般的でない文字を採り上げたのは、七十二候の一つであ
 る、「禾実る」の時期に当たっているからです(2025年は9/2~6の間)。
 「禾実る」は七十二候の四十二番目、処暑の末候にあたります。
 さて、「禾実る」書いてどんな風に読むかですが、こよみのページでは

   「こくもの みのる」

 と紹介しています。「のぎ みのる」でもよいかと思うこともありますが、
 「禾」を「のぎ」と読んでも、意味が通じないと思いますので、その意味か
 ら「こくもの(穀物)」としました。この方が、意味が通じそうですから。

 この「禾」は、稲の穂に見えるあのとげとげを表す言葉でもあるとか。日毎
 に秋らしくなる今日この頃、多くの地方でこの「禾」をつけた稲穂が頭を垂
 れ、稲刈りを待つ時期となっているでしょう。もしどこかで、稲穂を目にす
 る機会がありましたら、「これが禾か」とその姿を確認してみてください。

日刊☆こよみのページ スクラップブック