日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
【文化】(ぶんか) 1.文徳で民を教化すること。 2.世の中が開けて生活が便利になること。文明開化。 3.(culture)人間が自然に手を加えて形成してきた物心両面の成果。 衣食住をはじめ科学・技術・学問・芸術・道徳・宗教・政治など生活形 成の様式と内容とを含む。 文明とほぼ同義に用いられることが多いが、西洋では人間の精神的生活 にかかわるものを文化と呼び、技術的発展のニュアンスが強い文明と区 別する。文化⇔自然。 《広辞苑・第六版》 普段何気なく使っている言葉でも、その意味はと改めて考えて上手く説明で きない言葉ってありますよね。 この「文化」などもそうした、何となく分かっているつもりでも説明が上手 くできない言葉なのではないでしょうか。 少なくとも私にとってはそんな言葉の一つです。 この記事を 2011/11/3、文化の日に書いています。 文化の日は、祝日。国民の祝日に関する法律では文化の日の意味を 「自由と平和を愛し、文化をすすめる」 としています。 「○○文化」といった使い方ならよく目にし、耳にするのですが「文化をす すめる」なんて使い方にはまず滅多にお目にかかれません。 私が普段何気なく使っている「文化」という言葉の漠然とした意味では、ど うもしっくりこない表現なので、こんな使い方をされる文化ってことばの正 しい意味は、どんなものかと思って辞書を引いた結果が冒頭の広辞苑の説明 です。 文化の日を「自由と平和を愛し、文化をすすめる」と説明した国民の祝日に 関する法律が発布されたのは昭和23年 7月。 終戦間もなくで、日本という国全体がまだ戦争の生み出した苦しさの中にあ った時期ですから、辞書の意味の 2にある「世の中が開けて生活が便利にな ること」という意味が「文化をすすめる」という言葉の主たる意味だったの でしょう。 国民の祝日に関する法律が発布されてから既に60年以上が過ぎた現在の日本 では、その法律にある文化という言葉が 2の意味であるならそれはほぼ達成 出来たと云えるかもしれません。 だとしたらこれからの文化の日は? 「文徳で民を教化すること」という、 1の意味にその方向を変える頃なのか もしれませんね。 誰が誰を文徳で教化するのか。 それは私たち一人一人が考えることでしょう。
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