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【文化】(ぶんか)
 1.文徳で民を教化すること。
 2.世の中が開けて生活が便利になること。文明開化。
 3.(culture)人間が自然に手を加えて形成してきた物心両面の成果。
  衣食住をはじめ科学・技術・学問・芸術・道徳・宗教・政治など生活形
  成の様式と内容とを含む。
  文明とほぼ同義に用いられることが多いが、西洋では人間の精神的生活
  にかかわるものを文化と呼び、技術的発展のニュアンスが強い文明と区
  別する。文化⇔自然。
   《広辞苑・第六版》

 普段何気なく使っている言葉でも、その意味はと改めて考えて上手く説明で
 きない言葉ってありますよね。
 この「文化」などもそうした、何となく分かっているつもりでも説明が上手
 くできない言葉なのではないでしょうか。
 少なくとも私にとってはそんな言葉の一つです。

 この記事を 2011/11/3、文化の日に書いています。
 文化の日は、祝日。国民の祝日に関する法律では文化の日の意味を

  「自由と平和を愛し、文化をすすめる」

 としています。
 「○○文化」といった使い方ならよく目にし、耳にするのですが「文化をす
 すめる」なんて使い方にはまず滅多にお目にかかれません。
 私が普段何気なく使っている「文化」という言葉の漠然とした意味では、ど
 うもしっくりこない表現なので、こんな使い方をされる文化ってことばの正
 しい意味は、どんなものかと思って辞書を引いた結果が冒頭の広辞苑の説明
 です。

 文化の日を「自由と平和を愛し、文化をすすめる」と説明した国民の祝日に
 関する法律が発布されたのは昭和23年 7月。
 終戦間もなくで、日本という国全体がまだ戦争の生み出した苦しさの中にあ
 った時期ですから、辞書の意味の 2にある「世の中が開けて生活が便利にな
 ること」という意味が「文化をすすめる」という言葉の主たる意味だったの
 でしょう。

 国民の祝日に関する法律が発布されてから既に60年以上が過ぎた現在の日本
 では、その法律にある文化という言葉が 2の意味であるならそれはほぼ達成
 出来たと云えるかもしれません。

 だとしたらこれからの文化の日は?
 「文徳で民を教化すること」という、 1の意味にその方向を変える頃なのか
 もしれませんね。
 誰が誰を文徳で教化するのか。
 それは私たち一人一人が考えることでしょう。

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