日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)

【蝉時雨】 (せみしぐれ)
 蝉が多く鳴きたてるさまを、時雨の音にたとえていう語。夏の季語。
   《広辞苑・第六版》

 耳をつんざくばかりの大音響。
 深閑としているはずの林の中が、本格的な夏が到来する時期には、喧噪の場
 と化します。騒ぎの元は蝉の声です。

 林の中だけでなく、お寺や神社、街中でも樹木の多い公園などではやかまし
 いほどの蝉の声が聞こえてきます。

 蝉たちは時に、一斉に鳴き始め、また一斉に鳴き止みます。
 唐突に頭上から降り注ぎ、唐突に止む蝉の音を急に降り出し降り止む雨にな
 ぞらえた言葉が蝉時雨です。

 本格的な夏の訪れを告げる蝉時雨。
 やかましいほどの蝉時雨に包まれると、周囲の気温が「+2℃」上がったよう
 な気になります。
 蝉時雨は暑い夏をますます暑くしてくれる夏の風物詩です。

 盛夏の時期には連日続くやかましい蝉時雨ですが、蝉の命は短く儚い。
 今日、蝉時雨の大合唱に加わる蝉の何割かは、昨日とは別の蝉かもしれませ
 ん。騒がしく暑苦しい蝉時雨ですが、蝉たちにとっては、生きている
 ことを証す騒がしさなのです。

 蝉時雨の大合唱は、合唱団を構成する蝉を替え、蝉の種類を替えながら続い
 ていきます。

 蝉時雨の喧噪が一段落し、寒蝉(つくつくぼうし)や蜩(ひぐらし)の落ち
 着いた鳴き声に変わる頃には、夏の暑さも峠を越え、秋風が吹き始めます。
 秋の気配を感じる頃になれば、騒がしかった蝉時雨もつらい暑さとともに懐
 かしい夏の思い出となることでしょう。

日刊☆こよみのページ スクラップブック