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【正朔を奉ず】(せいさくを ほうず) (古代中国で、新しい王が立てば暦を改めたことから)その統治に服すること をいう。 《広辞苑・第六版》 ここで登場した「正朔」とは正月朔日、つまり一月一日のこと。 正月朔日は暦の始まりの日ですから、いつしか正月朔日を表す正朔という言 葉は暦そのものを表す言葉としても使われるようになりました。 広辞苑の説明のとおり、古代中国では王朝(王)が変われば暦も改められま したので、改められた新しい暦を承認するということは、その暦を作った王 朝(王)を承認するという意味になります。 「正朔を奉ず」が王朝の統治に服するという意味として使われるようになっ たのはこのようなわけです。 ◇「正確な暦」は正当な帝王の証 古代中国の帝王は「天子」と呼ばれました。 天子は天帝の子を意味する言葉。天帝の子である天子は地上の国を統治する のみならず、天上を巡る日月星辰まで支配するものと考えられました。 日月星辰を支配する以上、天子は日月星辰の運行も正確に把握しているはず。 暦は日月星辰の運行を表すものでありますので、正当な天子であれば正しい 暦を作ることが出来るのが当然です。こうした考えから古代中国では正しい 暦は、帝王の正当性の証であると考えられました。 王朝が交替するということは、天命が改まったということですので、新しい 天子(帝王)は、暦を改えたのでした。 また、周辺国がその王朝の庇護を受けるために朝貢すると、その返礼として 下賜される品々の中には必ず「暦」が入っていたのも、暦が帝王の正当性の 証であり、それを下賜することによって朝貢した国が帝王の庇護下に入った ことを帝王が認めたという証としたためです。 現在は誰でも自由に作ることの出来る暦ですが、昔は国の統治者のみが作る ことの出来るものであり、暦を勝手に作れば重罪に問われました。 世が世ならば、こよみのページを作っている私など、重大犯罪者として追わ れる身だったことになります(ああ、現代に生きていてよかった・・・)。
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