日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
【片腹痛い】 (かたはら いたい) [形]かたはらいた・し(ク) (「傍」のカタハラを片腹の意に誤ったことから起こった語) 身のほど知らずな相手の態度を笑いとばす意。 笑止である。ちゃんちゃらおかしい。 日葡辞書「カタハライタイ」。 浄瑠璃、出世景清「腕無しのふりづんばい、―・し、事をかし」 →かたわらいたい 《広辞苑・第六版》 2~3年前くらい前のこと、辞書を引いていて「片腹痛い」の文字がとびこん できました。 目が留ったついでに、この言葉の意味を確認してみようと思い、読んでみて 、はじめて「傍ら痛い」という言葉があること、「片腹痛い」がこの「傍ら 痛い」の「傍ら」を「片腹」に取り違えたところから生まれた言葉であると 知りました。 今までの人生のうち、実に 90%以上の期間を私はこの「片腹痛い」の方だ けしか知らなかったのでした。 そんな迂闊な者が「コトノハ」などとは、片腹痛い そう笑われても仕方がない。 身の程知らずの相手を笑いとばし、それこそ脇腹が痛くなるほど笑うことな のかななんて、そんな風にしか考えていませんでした。 脇腹が痛くなるほどの笑いは笑いすぎかも知れませんが、「片腹痛い」とい う言葉であれば、この解釈でも間違いとはいえません。とはいえ、やはりは ずかしいことには違いがありませんけれど。 元となった「傍ら痛い」は、気の毒であるとか、(相手の気持を慮って)傍 らにいて辛くなるという意味の言葉。「片腹痛い」とはまるでちがった意味 の言葉です。 わかっているつもりの言葉でも、たまには辞書でその意味を確かめてみるべ きだなと、教えてくれた「片腹痛い」話でした。 しかし、「片腹痛い」ではなくて、その元になった「傍ら痛い」という言葉 を使ったとしたら、今じゃほとんどその意味が伝わらないかもと思うのです が、どうでしょう? 間違いから生まれた片腹痛いの陰に隠れるようにして、忘れられてしまった (と思う)傍ら痛いという言葉は気の毒ですね。「傍ら痛い」は、こんなと きに使えばいいのかな?
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