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【桜色】(さくら いろ) 桜の花のような色。淡紅色。 「ほんのり桜色に上気する」 《広辞苑・第六版》 今は桜と言えば染井吉野の花、桜色も染井吉野の花の色を思い浮かべるよう になってしまっていますが、桜色という言葉が生まれた時代の桜は山桜。 山桜は白い花とともに紅色の若葉が現れ、同時に見えることからまずは平安 時代の貴族女性の衣装である十二単の色目の組み合わせとして「桜襲(さく らがさね)」が生まれました。 もっとも元の花色に近い桜襲は「表白・裏赤花」という組み合わせであった といいます。この配色は、山桜の白い花と、その間から見える紅色の若葉の 組み合わせを表したものでしょう。 そして、白い花と紅色の若葉に彩られた山桜を遠望すれば、花と葉の色が混 じり合って薄い紅色となり、これが桜色と呼ばれるようになったようです。 桜色は布地の織色としては、縦糸(経、たて)を紅糸、横糸(緯、ぬき)を 白糸で織ったものがもっとも桜色に近いとされます。 染め色としての桜色は江戸の中期頃から広く使われるようになり、今に至っ ています。 桜と関係する色名としては英名のチェリー(Cherry)、仏名のスリーズ(Ce rise)がありますがどちらも、桜の花色ではなく、実であるサクランボの赤 色を表す言葉です。 所変われば品変わるといいますが、国が違えば「桜」で想像するものが花と 実の違いがあるようです。想像するものが花と実の違いがありますから、桜 の色の意味する色も、違ったものになるのですね。
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