日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)

【桜色】(さくら いろ)
 桜の花のような色。淡紅色。
 「ほんのり桜色に上気する」
  《広辞苑・第六版》

 今は桜と言えば染井吉野の花、桜色も染井吉野の花の色を思い浮かべるよう
 になってしまっていますが、桜色という言葉が生まれた時代の桜は山桜。

 山桜は白い花とともに紅色の若葉が現れ、同時に見えることからまずは平安
 時代の貴族女性の衣装である十二単の色目の組み合わせとして「桜襲(さく
 らがさね)」が生まれました。

 もっとも元の花色に近い桜襲は「表白・裏赤花」という組み合わせであった
 といいます。この配色は、山桜の白い花と、その間から見える紅色の若葉の
 組み合わせを表したものでしょう。

 そして、白い花と紅色の若葉に彩られた山桜を遠望すれば、花と葉の色が混
 じり合って薄い紅色となり、これが桜色と呼ばれるようになったようです。

 桜色は布地の織色としては、縦糸(経、たて)を紅糸、横糸(緯、ぬき)を
 白糸で織ったものがもっとも桜色に近いとされます。
 染め色としての桜色は江戸の中期頃から広く使われるようになり、今に至っ
 ています。

 桜と関係する色名としては英名のチェリー(Cherry)、仏名のスリーズ(Ce
 rise)がありますがどちらも、桜の花色ではなく、実であるサクランボの赤
 色を表す言葉です。

 所変われば品変わるといいますが、国が違えば「桜」で想像するものが花と
 実の違いがあるようです。想像するものが花と実の違いがありますから、桜
 の色の意味する色も、違ったものになるのですね。

日刊☆こよみのページ スクラップブック