日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
【犬馬は難し】(けんばは かたし) 犬や馬を描くことはむずかしい。 《韓非子・外儲説篇左上》 何を描くのが一番難しいか、斉王が画工に問うと画工は 「犬や馬が難しゅうございます」 と答えました。 では何を描くのが簡単かと問うと 「鬼や化け物が簡単です」 と画工は答えました。 鬼や化け物は誰もその姿を見たものが無いので、どのように描いても人は、 「なるほど、こういうものなのだな」と納得し感心するので描く側にとって は最も簡単なのだというのです。 その点、犬や馬などは誰でもよく知っているもので、いつも間近に見ること の出来るものなので、おかしな点があれば、それが小さな部分であってもす ぐにおかしいと気づかれてしまう。そういう意味で身近な犬馬を描くのが一 番難しいのです、と画工は説明しました。 高尚な理想を論じ、思いもよらぬ奇抜な意見を歯切れ良く述べて注目を集め る人がいます。 理想を語るその話は感心するばかりですが、いざそれを現実の世界に適用さ せて行くのかという段に話が移ると、とたんに歯切れが鈍り、話が曖昧なも のになってしまう、そんな人が案外に多いように思います。 「鬼や化け物を描くのは簡単だが、犬馬を描くのは難しい」 犬馬は描けるのか? 好んで鬼や化け物を描くようなことばかりしていないか? かわうそも自省したいと思います。
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