日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
【風鈴】(ふうりん) 小さい鐘のような形をして、中に舌の下がっている金属製・陶器製・ガラ ス製などの鈴。 吊しておくと風に吹かれて快い音を発する。 風鐸(ふうたく)。 夏の季語。〈書言字考節用集〉。「軒下に風鈴を下げる」 《広辞苑・第六版》 「何処にしまったかな?」 梅雨あけして、夏の暑さが押し寄せてきました。 暑さにはかなり強い私ですが、それでも押し寄せてきた猛烈な暑さには辟易 するものがあります。 暑さには結構強いが、冷房には滅法弱くて、すぐに体調を崩してしまう私は 出来る限り自然の風に頼って、この暑さを乗り切りたいと思っているのです が、ここまで暑くなってしまうと窓から入ってくる風も生ぬるく、お世辞に も涼風とはいえません。それでも無いよりはましですが。 無いよりはましの生ぬるい風を、気分だけでも「涼風」に変えたいと、未開 封の引越荷物の中から探していたのは、風鈴です。 打ち水だったり、氷だったり、浴衣だったり、団扇だったり。 暑い夏を少しでも快適に過ごすための工夫は、色々あります。 風鈴もそうした夏を快適に過ごすための工夫の一つでしょう。 他のものは気温を下げたり、体感温度を下げる効果の期待されるもので、直 接に暑さを押さえる効用があるものですが、その点では風鈴は何の役にも立 ちません。ただ、窓の辺りで「チリリ~~ン」と鳴るだけです。 ですが、この「チリリ~~ン」を聞くと、なぜか涼しくなった気がします。 「あ、あった、あった。」 ゴソゴソと探していた二つ目の段ボール箱の中から、風鈴が収められている 木箱が出てきました。私の愛用の風鈴は、風鈴とは云いながら鈴や鐘のよう な形のものではありません。 四本の火箸がつり下がり、その間に舌のついた金具がぶら下がっているとい うものです。風が舌を揺らすと舌に繋がった金具が、その周りに下がった火 箸に当たり音を発する、火箸風鈴というものです。 風が吹くたびに、四本の火箸は微かな、長く尾を引く澄んだで鳴ります。 本来は暖をとるために使われる火鉢に使われるはずの火箸が、涼を得るため に使われるとは、なんだか面白い組み合わせの風鈴です。 「あ、風だ」 窓辺で火箸が鳴っています。 火箸を鳴らせた風の勢いは弱く、なかなか私のところまでやって来てくれま せんでしたが、前触れの風鈴の音を聞くだけで、もういくらかの風を感じた 気がしました。
日刊☆こよみのページ スクラップブック