日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)

【まったり】
 1.味わいがまろやかでこくのあるさま。「まったりした味」
 2.人柄が落ちついているさま。
  転じて、ゆっくりとくつろいでいるさま。
   《広辞苑・第六版》

 どこからともなく現れ、
 なんとなく雰囲気はわかるけれど正確な意味はわからない。
 でも気がつくと、その「雰囲気はわかる」言葉を日常会話で、あたりまえに
 使ってしまっている・・・
 「まったり」は私にとってそんな言葉です。

 よくわからない言葉は、出来るだけ使わないようにしているつもりなのです
 が、ふと「まったりしてます」なんて使ってしまうことが・・・。
 これはいけないと、本日は辞書を引いて、言葉の意味を確認してみました。

 この言葉に最初にふれたのは、「美味しんぼ(おいしんぼ)」という漫画の
 中で使われるのを読んだ時だと思います。
 時期はおそらく30年ほど前のこと。

  「まったりした味」

 この漫画ではよくこんな言葉が登場します。
 この漫画が大ヒットしたためでしょうか、それまでは聞いたこともなかった
 「まったり」という言葉が、いつの間にかいろいろなところで使われるよう
 になりました。
 この言葉は、味の話だかでなく、

  「ちょっと、まったりしていた」

 といった具合に、くつろぐ様子を表すためにも使われます。
 こちらも「なんとなく」は意味が解るのですが、本当はどんな意味の言葉な
 のかは、よくわかりませんでしたので、今回、広辞苑のお世話になってみま
 した。そうか、まろやかでこくのある味。くつろいでいるさまね・・・。
 しかし、最初に「美味しんぼ」でこの言葉を目にしたとき、

  なに? この言葉は??

 と思ったことをよく覚えているので、昔はあまり使われなかった言葉のよう
 な気がします。気になったので、さらに広辞苑に頼ってみました。
 手元には第六版の他に、五版と四版の少し古い版の広辞苑がありましたので
 こちらも調べてみました。すると、

 【まったり】
  味わいがまろやかでこくのあるさま。「まったりした味」
   《広辞苑・第五版》

 と、五版では六版の1の意味だけが書かれていました。
 そして、四版では「まったり」自体の項目がありませんでした。
 広辞苑の発行年月を調べてみると

  第四版 1991.1
  第五版 1998.11
  第六版 2008.01

 広辞苑が、あらゆる言葉を網羅しているわけではもちろんありませんので、
 使われていても辞書に載らない言葉はいくらもあるでしょうが、広辞苑の四
 版から六版までの「まったり」の取り扱われ具合を見ると、この言葉はやは
 り、比較的最近になって使用される場面が増えてきた言葉であるようです。

 私が最初にこの言葉にふれた「美味しんぼ」の連載開始が1983年だそうです
 から、もしかしたらこの言葉の普及は本当にこの漫画のヒットによるものな
 のかもしれませんね。

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