日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
【天泣】(てんきゅう) 雲が全く見えないのに、雨または雪の降る現象。 《広辞苑・第六版》 あ、雨・・・ 顔に水の滴を感じて空を見上げると、顔に感じた滴を降らせたはずの雲が何 処にも見えません。 気のせいかいぶかりながら、もう一度空に向けた目を凝らすと、青い空に時 折、陽光にきらめくものがあることに気がつきました。 気のせいではなかったようです。 どうやら、「天泣」と呼ばれるもののようです。 気がつかないくらいの薄い雲が降らせた雨とも、どこか遠くの雲が降らせた 雨が、風に流され、蒸発しながらようやく地上にたどり着いた雨だともいわ れています。 冬の時期なら、雨ではなく雪となります。雲一つない青空にキラキラとかが やく雪が見えるときがあります。 天気雨といってもよいのかもしれませんが、天気雨の場合は、その雨を降ら せた雲のひとかけらくらいは見えているような気がしますから、ちょっと違 ったもののように私には感じられます。間違っているかもしれませんが。 見えない雲が降らせた雨なのか、遠い雲が降らせた雨が、長く旅して地上に たどり着いたものなのか、それとも本当に天が泣いているものなのか。 私の顔までおりてきた滴の元はどれだったのでしょう。 もし、本当に天が泣くのだとしたら、天はなぜ泣いたのかな? 悲しいから、嬉しいから、それとも悔しいから? 「誰にだって泣きたいときはあるよね」 そう思ったら、私の顔に落ちてきた滴の元を、それ以上詮索する気は無くな りました。 夏の初めのよく晴れた、暑い日の出来事でした。
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