日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
【寒に帷子 土用に布子】(かんにかたびら どようにぬのこ) 時節はずれの用のないもの。 《広辞苑・第六版》 慣用句の一つ。 帷子は一重の着物、布子は綿入れ。 単の着物も綿入れも季節を思い浮かばせるものです。暑い夏には単の着物で 涼しく過ごし、寒い冬には綿入れを着るというわけです。 寒い寒に単の着物、暑さの盛りの土用(夏の)に綿入れでは季節と着物の組 み合わせがあべこべ。この組み合わせでは帷子も布子も無用の長物です。 こうしたことから、寒の帷子、土用の布子と二つ続けて並べてみると、物事 が逆さまだとというような意味にもとれます。本来ならば寒の布子、土用の 帷子で有るべきなのにと。 また、気が利かない例えとして使われる場合もあるように思います。 寒に帷子など時季はずれのものを持ってくるなんてと言うことです。 類義語としては、「夏炉冬扇(かろとうせん)」なんかが浮かびます。 でもこうした言葉も、帷子、布子と言う言葉にピンと来ることがなくなりつ つある今では、すっかり耳にする機会が減りましたね。 ちょっぴり寂しい気がしますね。そのうちに、 寒の帷子、土用の布子 なんていっても「なんのこと」と聞き返されるだけの時代がやってくるかも。 そんな時代になったら、言葉だけでなく、私自身も寒の帷子同様、時節にあ わないものになっているかもしれません。
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