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【傍ら痛い】(かたわら いたい) [形容詞]かたはらいた・し(ク) (傍らにいて心が痛む意。「片腹痛い」は中世以後の当て字) 1.気の毒である。また、そばで見ていて、いやな気がする。源氏物語桐壺 「うへ人、女房などは傍ら痛しと聞きけり」。 枕草子96「傍ら痛きもの。よくも音弾きとどめぬ琴を、よくも調べで、 心の限り弾きたてたる」 2.きまりが悪い。はずかしい。いたたまれない。 源氏物語椎本「傍ら痛うて御いらへなどをだにえし給はねば」 →かたはらいたい 《広辞苑・第六版》 数年前、「片腹痛い」を辞書を引いて「片腹痛い」がこの「傍ら痛い」の 「傍ら」を「片腹」に取り違えたところから生まれた言葉であると知りまし た。今までの人生のうち、実に 90%以上の期間を私はこの「片腹痛い」の方 だけしか知らなかったのでした。 そんな迂闊な者が「コトノハ」などとは、片腹痛い そう笑われても仕方がない。 派生して生まれた「片腹痛い」の方はこんな風に使うのでしょうけれど、元 となった「傍ら痛い」の方は、気の毒であるとか(相手の気持を慮って)傍 らにいて辛くなるという意味の言葉。「片腹痛い」とはまるでちがった意味 の言葉です。 「傍ら痛い」が元々あった言葉なのに、今ではこの言葉の間違いから生まれ た「片腹痛い」の影に隠れてしまって、「傍ら痛い」という言葉を使っても その意味は通じないかもしれませんね。 本家なのに、すっかり影の薄くなってしまった「傍ら痛い」のことをおもう と、いたたまれないですね。 こんなときにつかうのかな? 傍ら痛いって。
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