日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)

【年年歳歳花相似たり、歳歳年年人同じからず】
 (毎年きまったように花は咲くが、
 その花を見る人は年ごとに違うの意から)

 自然は変わらないのに人の境遇はつねに変わりやすいということ。
 人の世の無情をいう。[出典]劉廷芝『代悲白頭翁』詩
  《成語林・初版》

 「花と云えば桜」とも云うので、この言葉は桜の季節にとりあげるのが順当
 かもしれませんが、最高気温が35℃を超える日が続く今頃に採り上げており
 ます。まあ、花は桜ばかりではありませんからお許しを。

 四季の変化がはっきりした日本においては、花に限らず様々なものにこの、
 「年年歳歳○○相似たり」という思いを託すことが出来ると思います。
 昨日の朝は、今年初めて、蝉の声に気がつきました。

 「ああ今年もまた、蝉が鳴く季節になったんだな」

 と、盛夏の訪れを感じた朝でした。
 この場所で、蝉の声に夏の訪れを感じる日も、満開の花を纏った桜の老木に
 春を感じる日も毎年めぐってくるのですが、それを感じ取る者が、来年も再
 来年も変わらずにこの場所にいるわけではありません。

 また、昨日の朝に蝉の声に夏の季節を感じた私も去年の私と同じではありま
 せん。一年分の日々を積み重ねて、一年前の自分とは違た自分となって蝉の
 声を聞いています。一年後、十年後、そしていつかは花を見て、蝉の声を聞
 いて、変わらない自然の様を感じる私自身が、この世からいなくなる日もや
 ってきます。

  「年年歳歳花相似たり、歳歳年年人同じからず」

 昨日まで元気な笑顔を見せていた人が、これからもずっとそのままであるは
 ずはないという当たり前のことを、そしてそれは自分にも当てはまるのだと
 いう当たり前のことを、改めてこの言葉から思い出しています。

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