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【金木犀】(きんもくせい)
 モクセイ科の常緑小高木。
 中国原産の観賞用植物で、古くから庭木とされる。高さ約3メートル。
 葉は狭い長楕円形、革質で堅い。雌雄異株。
 日本のものはすべて雄株で結実しない。
 秋、橙黄色で芳香の強い小花を多数開く。漢名、丹桂。秋の季語。
   《広辞苑・第七版》

 洗濯物を干そうと、ベランダに出てみると「天高く」と形容されるとおりの
 秋の青空が拡がっていました。こんな良い天気なら、洗濯物も直ぐに乾いて
 くれそうです。そんなことを考えながら洗濯物を干していると、金木犀の花
 の香りに気がつきました。

  そういえば、近くに金木犀の木があったな

 そう思って、見下ろすと20m程先に金木犀の木があり、濃い緑の葉の間に、
 黄金色の花が見えていました。あまり手入れされているとも思えない木です
 が、高さは4m近くあり、横への葉の拡がりも高さに近いほどある、金木犀と
 しては大きな木です。

 金木犀としては大きな木ですけれど、周囲には桜や椎の木など、もっと大き
 な木が何本もあるので、普段はそこに金木犀があることなど、すっかり忘れ
 てしまいます。ですが、秋になれば金木犀の木は、その花の香りではっきり
 とその存在を思い出させてくれます。

◇中国から伝わった「九里香」
 金木犀は中国原産の植物で、日本には17世紀末頃に日本に渡来したとされま
 す。中国での呼び名は「丹桂」。秋深まる頃に咲く花は、強い芳香を放ち、
 この香りから、遠く離れた人にもこの木の存在を知らせることから

  九里香

 とも呼ばれます。九里先までその香りが届くという意味です。
 ここでの「里」は中国の距離の単位で、およそ4~500m程。九里というと、
 およそ4km。さすがにこれは大げさだろうと思いますが、絶対無理とは言い
 切れないくらい香りの強い金木犀です(私と違って、鼻の良い人もいるでし
 ょうしね)。

 金木犀は、庭木や垣根の木として広く栽培されていますから、秋が深まる頃
 に街を歩けば、きっとどこかでその香りを感じることがあるでしょう。

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