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【合歓木】(ねむのき)
 マメ科の落葉小高木。
 山地や川原に自生。葉は細かい羽状複葉、小葉は10~20対。
 葉は夜、閉じて垂れる。
 6~7月頃、紅色の花を球状に集めて咲く。
 花弁は目立たず、雄しべは多数に割れ紅色。莢(さや)は扁長楕円形。
 材は胴丸火鉢・下駄歯に、樹皮は打撲傷・駆虫に用いる。
 ねむ。ねぶ。ごうかん。「合歓(ねむ)の花」は夏の季語。
   《広辞苑・第六版》

 昨日、結構長い距離を車で走りましたが、山間を走る時にはあちこちにネム
 ノキの薄紅色の花を見かけました。ちょうど七夕(新暦のですが)の翌日で
 もありましたので、思いついて本日はネムノキの話を採り上げることにしま
 した。

 合歓木は、夕方になるとその葉が合わさり閉じることから、木が眠るように
 見えることから「ネムノキ」という名が付いたといわれています。
 合歓木の葉が広がる日中には、その葉に隠れてしまいがちな合歓の花ですが
 夕方になると葉が閉じて眠りにつくため、眠る葉の陰からその愛らしい姿を
 現します。

 合歓の花は、夕暮れ時に人目を避けるように姿を現すことから「薄暮花(は
 くぼばな)」とか「夢の花」という異称でよばれることもあります。
 夕方に葉は眠るというのに、花だけは夜なべでしょうか?

 夜なべとネムノキといえば、柳田國男の「年中行事覚書」に夏の暑さの中の
 労働の疲れからくる眠気を祓うための「ねむた流し」という行事が日本各地
 で行われていたことが書かれています。

 この「ねむた流し」で川に流されるのがネムノキの枝。ネムノキという名前
 が眠りに通じると考えられたのでしょう。ちなみにこの「ねむた流し」は七
 夕の行事の一部として行われることが多かったようで、東北の夏祭りとして
 行われる「ねぶた祭」の起源とされています。ネムノキと七夕とねぶた祭、
 意外な繋がりがあるものです。

 ちなみに中国の昔話によれば、この花を酒に少量入れて飲ませれば機嫌の悪
 い人もたちまち上機嫌になるのだとか。そうした効能が本当にあるのかどう
 かは存じませんが、身近に怒りっぽい人がいたら、こっそりと試してみるの
 もいいかもしれませんね。まあ、そんな「テスト」をされたと知ったら、そ
 れこそ怒られちゃうかも知れませんが。

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