日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
【合歓木】(ねむのき) マメ科の落葉小高木。 山地や川原に自生。葉は細かい羽状複葉、小葉は10~20対。 葉は夜、閉じて垂れる。 6~7月頃、紅色の花を球状に集めて咲く。 花弁は目立たず、雄しべは多数に割れ紅色。莢(さや)は扁長楕円形。 材は胴丸火鉢・下駄歯に、樹皮は打撲傷・駆虫に用いる。 ねむ。ねぶ。ごうかん。「合歓(ねむ)の花」は夏の季語。 《広辞苑・第六版》 昨日、結構長い距離を車で走りましたが、山間を走る時にはあちこちにネム ノキの薄紅色の花を見かけました。ちょうど七夕(新暦のですが)の翌日で もありましたので、思いついて本日はネムノキの話を採り上げることにしま した。 合歓木は、夕方になるとその葉が合わさり閉じることから、木が眠るように 見えることから「ネムノキ」という名が付いたといわれています。 合歓木の葉が広がる日中には、その葉に隠れてしまいがちな合歓の花ですが 夕方になると葉が閉じて眠りにつくため、眠る葉の陰からその愛らしい姿を 現します。 合歓の花は、夕暮れ時に人目を避けるように姿を現すことから「薄暮花(は くぼばな)」とか「夢の花」という異称でよばれることもあります。 夕方に葉は眠るというのに、花だけは夜なべでしょうか? 夜なべとネムノキといえば、柳田國男の「年中行事覚書」に夏の暑さの中の 労働の疲れからくる眠気を祓うための「ねむた流し」という行事が日本各地 で行われていたことが書かれています。 この「ねむた流し」で川に流されるのがネムノキの枝。ネムノキという名前 が眠りに通じると考えられたのでしょう。ちなみにこの「ねむた流し」は七 夕の行事の一部として行われることが多かったようで、東北の夏祭りとして 行われる「ねぶた祭」の起源とされています。ネムノキと七夕とねぶた祭、 意外な繋がりがあるものです。 ちなみに中国の昔話によれば、この花を酒に少量入れて飲ませれば機嫌の悪 い人もたちまち上機嫌になるのだとか。そうした効能が本当にあるのかどう かは存じませんが、身近に怒りっぽい人がいたら、こっそりと試してみるの もいいかもしれませんね。まあ、そんな「テスト」をされたと知ったら、そ れこそ怒られちゃうかも知れませんが。
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