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【夜長】(よなが) 1.夜の長いこと。また、その頃。多く秋の夜にいう。長夜。秋の季語。 栄華物語(玉飾)「夜長になりまさりて」 2.(女房詞)大床子(だいしょうじ)の御膳(おもの)のおろしを夜食に食 べること。夜食。 《広辞苑・第七版》 秋も深まり、夜が長いと感じる季節となりました。 広辞苑の語釈にも「多く秋の夜をいう」とあるように、夜が長いというだけ の夜長という言葉が、秋という季節に結びついています。 本日は2023/10/9。 日が昇ってから日が沈むまでの時間が昼で、昼以外の時間を夜だと考えると 昼の長さは11時間33分、夜の長さは12時間27分となります。 (※計算地点は東京) こうしてみると夜の時間が昼の時間より1時間弱長いことが判ります。1日24 時間を100%として考えると 昼 48% , 夜 52% 確かに夜の方がちょっとだけ長い。 ま、夜長で間違いないか・・・。 ただ、ここで気になることがいくつか。 ◇気になることその1 ・・・ 春も夜長? 今日、10/9と同じ昼と夜の長さになる日は他にもあります。計算してみると 3/5がその日。単純に昼と夜の長さの比率だけで「秋の夜長」というのであ れば「春の夜長」という言い回しがあっても不思議ではないが、そんな言葉 はついぞ耳にしたことがない。なぜだろう? ◇気になることその2 ・・・ 短夜は夏の季語? 季語としてみた場合の「夜長」が秋の季語であるのに対して、夜長の反対と なりそうな言葉「短夜(みじかよ)」は夏の季語。 方や秋の季語で方や夏の季語ではなんだかバランスが良くない。 なぜだろう? ◇気になることその3 ・・・ 長夜の季節は? その2で登場した「短夜(みじかよ)」は「たんや」とも読み、この対義語 として広辞苑では「長夜」が引かれています。では「長夜」の語釈を見ると 【長夜】(ちょうや) 1.長い夜。よなが。ながよ。多く秋または冬の夜をいう。 とあります。 ううむ、「秋または冬の夜」とは。はっきりして欲しかったのに。 短夜が夏、長夜が冬ということなら、現実の夜の長さと季節の関係からスッ キリするのですが、やはり秋も長夜なんですね。 もちろん、夜長といっても単純に夜が長いというものではなくて、夜が短か った夏が終わって、夜の長さが伸びてゆく過程で「夜が長くなったな」と主 観的、体感的に感じ、夜長(よなが)という言葉が生まれたのだろうなと想 像しますが、単純に考えてしまうとなんか不思議な「夜長」というとこばに ついで考えてしまった秋の夜でした。 ちなみにですが、夜長に対して昼が長いことを表す言葉に 「日長(ひなが)」あるいは「日永(ひなが)」 がありますが、こちらは春の季語。 あ、これなら季節のバランスもいいですね。 (最初から、答えは出ていたみたいです)
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