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【二河白道】 (にがびゃくどう)
 〔仏〕善導が「観経疏散善義」で説いた比喩(ひゆ)。
 おそろしい火・水の二河に挟まれた細い白道を、西方浄土に到る道にたとえ
 たもの。火の河は衆生の瞋恚(しんい)、水の河は衆生の貪愛(とんあい)
 、白道は浄土往生を願う清浄の信心を表す。二河。白道。
   《広辞苑・第七版》

 日本に浄土思想が拡がるとともに、西の彼方には煩悩に満ちたこの世界とは
 違った理想の世界、西方浄土があると信じられるようになりました。

 彼岸の中日(春分・秋分の日)には太陽が真西に沈みます。
 海辺で沈む太陽を眺めると、真西に沈む太陽が水面に白く光る一筋の道を映
 し出します。まるで二河白道が具現化されたようなまぶしい道。この道は、
 西方浄土へ至る道であるとして尊ばれ、この道を照らす春分、秋分の日の夕
 日を拝する行事が行われたそうです。

 宗教的な意味合いは判らなくとも、朝日、夕日が海を照らして作るこの白い
 道にはは、ただ眺めるだけでも何か敬虔な気持ちを呼び起こしてくれる力が
 あるような気がします。

 この文章を書いているのは春分の日の朝。日暮れには海の上に、きっとこの
 二河白道を見ることが出来ることでしょう。そしてこんな私にも敬虔な気持
 ちを呼び起こしてくれることでしょう。
 そうしてくれるよう、今のうちからお天道様にお祈りすることにします。

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