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【浅葱】(あさぎ) (薄い葱(き)の葉の色の意。「浅黄」と書くのは本来誤り) 1.薄い藍(あい)色。みずいろ。うすあお。 2.(六位の人の袍が 1の色であったから)六位をいう。 源氏物語(少女)「浅葱にて殿上に還り給ふを」 3.あっさりと控えめなこと。また、いい加減なこと。 浄瑠璃、心中重井筒「何事もさらりつと浅葱にいうて」 4.浅葱裏の略。 《広辞苑・第七版》 以前、浅葱色は薄い黄緑色かと思っていました。理由は浅葱色を浅黄色とも 書くから。この点は 「浅黄」と書くのは本来誤り と辞書に書かれた誤りに騙された(勝手に騙されたのだけれど)わけです。 実際の浅黄色は黄緑色ではなくて、薄い青というか、薄い藍色です。 辞書の説明の1にも「薄い藍色。みずいろ。うすあお。」とあります。 ここで浅葱の「薄い葱の葉の色の意」という一文を思い出して、葱の葉を思 い浮かべると、確かに葱の葉は青味を帯びているなと納得できます。 薄い青色は葱の葉を思い浮かべると納得出来ます。それなら「浅青」で「浅 黄」とはこれ如何に。いくら何でも違いすぎる気がします。気になります。 日本の傳統色(長崎盛輝著)という本で浅葱色という項目を調べてみると、 「浅葱」はわかい葱に因んだ色であるが、その染色は実物の葱より青味が ちの浅い緑青色である。古実書には浅葱色を水色と同色と見ているものが あるが、水色は浅葱色よりも淡く青味がちである。 浅葱色は後に誤って「浅黄色」と書かれているが、本来の浅黄の色は、文 字通り淡い黄色である。 と書かれています。「浅葱」の誤りの「浅黄」もまた、本来は別の色を表す 言葉だったのですね。読みがどちらも「あさぎ」と読める文字であったばか りに混同されてしまったのですね。 実際の色を見れば違いは一目瞭然なのに。 ちなみに前出の「日本の傳統色」によれば、色の「浅黄」は「うすき」と読 むようです。「浅黄」を「あさぎ」と読んでしまったところから間違いが始 まってしまっていたようです。毎日のように隅掘り隊隊員のお世話になって いる誤字の多い私なので、笑い事ではない間違いです。 ただ、この色を青味のある色か、黄味のある色かを取り違える間違いを犯す のは現代の私たちばかりではないようで、平安後期に書かれた「今鏡」にも 浅葱色について 青き色か黄なるかなどおぼつかなくて と書かれているとか(これも前出の本の説明から)。 平安の時代から伝統的に紛らわしい「浅葱色」だったんですね。 知ったからには浅葱色と浅黄色、確りと使い分けたいと思います。
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